研究課題
窒素収支が明らかにされた家畜スラリー還元畑土壌下層土から低栄養要求型脱窒菌を分離・同定し、脱窒を利用した窒素浄化技術の開発に向けた脱窒能、及び脱窒代謝過程で発生し環境負荷が危惧される亜酸化窒素生成能の評価を行う。2004年度は、分離脱窒菌及び土壌中の脱窒菌に由来する脱窒関連遺伝子(nirK)の多様性を解明するとともに、これまでの成果等を公表するために国際シンポジウムを開催した。九沖農研畑作研究部の家畜スラリー長期連用圃場のうち300t/ha区の表層土を2003年11月に採取し、土壌DNAから脱窒関連遺伝子(nirK)をクローニングした。既に分離した低栄養性脱窒菌群の一部について、常法に従い特性を評価した。その結果、重複した配列を除き26種類の土壌nirKクローンが得られた。系統樹を作成したところ、大きく5つのグループに分かれた。クローンの多くはα-プロテオバクテリア、また一部はβ-プロテオバクテリアのnirKと近い配列であった。一方、既存のデータベースあるいは同じ土壌から分離した脱窒菌株とは離れたクローンも存在した。分離した低栄養性脱窒菌のうち、βプロテオバクテリアに属し16SrRNA解析から新しい種の可能性の高い2菌株について、近縁種と形態等の特性を比較評価した。いずれの分離菌株も脱窒代謝の最終産物として亜酸化窒素を集積するタイプであった。2004年7月28日、九州沖縄農業研究センター主催、大韓民国Mokwon大学校共催、九州東海大学協賛により、国際シンポジウム「環境保全型農業推進のための微生物資源の探索と利用」を九沖農研において開催した。詳細はホームページ参照(http://konarc.naro.affrc.go.jp/photo/symp2004/repo/index.htm)。
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2004 International Meeting of Microbiological Society of Korea
ページ: 24
Proceedings of International Symposium on Identification and Use of Microbial Resources for Sustainable Agriculture
ページ: 8-14
ページ: 68-69
日本土壌肥料学会講演要旨集 50
ページ: 44
九州・沖縄の農業と土壌肥料-自然と共存した食料供給基地を目指して-
ページ: 134-137