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2003 年度 実績報告書

トランストランスレーション反応の分子メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 14360044
研究機関弘前大学

研究代表者

姫野 俵太  弘前大学, 農学生命科学部, 助教授 (80208785)

キーワードtmRNA / トランストランスレーション / パロモマイシン / SmpB / 翻訳 / リボソーム / アミノグリコシド
研究概要

トランストランスレーションは、翻訳が中断したmRNAからtmRNAへとリボソームが翻訳を切替えることで二つの分断された情報から一本のキメラペプチドを作り出す、変則的翻訳である。この反応を行うtmRNAは、tRNA様の構造を持つtRNAドメインとタグペプチドをコードするmRNAドメインの二つのドメインから成る。これまでの研究によりタグペプチドのコード領域のすぐ上流に翻訳再開のシグナルの存在が明らかになってきたが、それが何によって、またどのようにして認識されることで翻訳再開位置の決定が行われるのかという問題はいまだ解決されていない。本研究では、リボソームの小サブユニットのAサイトに結合することが知られているアミノグリコシド系抗生物質のtmRNAおよびトランストランスレーションに対する影響を調べた。まず融解温度の変化の測定により、パロモマイシンはtmRNAに2分子結合することを明らかにした。さらに化学修飾により、それぞれのパロモマイシン結合部位を特定した。2分子の結合のうちtRNAドメインへの結合はアミノアシル化に影響を与え、さらにはSmpBのtmRNAへの結合を阻害した。一方、パロモマイシンはトランストランスレーションの開始位置を-1だけシフトさせることを明らかにした。なお、アミノグリコシド系抗生物質が翻訳をシフトさせるという現象はこれまでに報告されていないものであった。そしてリボソームに変異を導入することで、このシフトはパロモマイシンがtmRNAに結合することに起因するのではなく、リボソームのAサイトに結合することに起因することを明らかにした。さらに様々なアミノグリコシドの効果を調べた結果、トランストランスレーションのシフトを起こしうる最小構造を明らかにした。最終的に、トランストランスレーションのシフトはリボソームの小サブユニットのAサイトの構造変化が原因であることを結論づけることができた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Takahashi, T., Konno, T., Muto, A., Himeno, H.: "Various effects of paromomycin on tmRNA-directed trans-translation"J.Biol.Chem.. 278. 27672-27680 (2003)

  • [文献書誌] Konno, T., Takahashi, T., Muto, A., Himeno, H.: "Various effects of paromomycin on tmRNA-mediated trans-translation"Nucleic Acids Res. Supplement. 3. 235-236 (2003)

  • [文献書誌] Takada, K., Hori-Takemoto, C., Kawazoe, M., Lee, S., Shirouzu, M., Yokoyama, S., Muto, A., Himeno, H.: "In vitro analysis of the initial steps of trans-translation"Nucleic Acids Res. Supplement. 3. 287-288 (2003)

  • [文献書誌] 姫野俵太: "タンパク質がわかる"竹縄忠臣編(羊土社). 10 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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