研究課題
基盤研究(B)
非プロテアーゼ系炭素-窒素結合切断酵素群の中で、(他の酵素に関しては継続して研究を進めているが)現在、特にイソニトリル代謝に関与する2つの酵素(イソニトリルヒドラターゼ、N-置換ホルムアミド分解酵素)に関して得られている成果を以下に記載する。イソニトリルヒドラターゼの構造遺伝子(inhA)を単離し、相同性検索にかけた結果、アーキア由来の細胞内プロテアーゼと低いながらも相同性があることを発見した。このプロテアーゼの活性中心アミノ酸残基に相当するイソニトリルヒドラターゼのアミノ酸残基4カ所に対して部位特異的変異法によりアミノ酸置換を行い、変異酵素を精製し、諸性質を解析した。その結果、101番目のシステイン残基をイソニトリルヒドラターゼ反応の活性中心アミノ酸残基であると同定した。イソニトリル代謝において、イソニトリル分解菌はイソニトリルヒドラターゼによりN-置換ホルムアミドに変換し、さらに分解すると考えられるがそれに関与する酵素は未知であった。自然界より新たにN-置換ホルムアミド分解菌F164株(細菌Arthrobacter pascensと同定)を分離し、本株からN-置換ホルムアミド分解酵素を初めて発見した。本酵素は、N-置換ホルムアミドをアミンとギ酸に変換することから、N-置換ホルムアミドデフォルミラーゼと命名した。本酵素単離精製することに成功し、基質特異性・最適pH・最適温度などN-置換ホルムアミドデフォルミラーゼの生化学的諸性質を解析した。また、本酵素の構造遺伝子の単離にも成功した。相同性検索の結果、全長にわたって有意な相同性を示す既知の酵素は見つからず、本酵素が全く新規であることが示唆された。
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