染色体構造調節因子複合体について、新規複合体の同定及び構成因子の検索や機能調節を調べる事を目的として、15年度は、前年度の1〜3の課題を継続するとともに、特に課題4に焦点を当て、研究を進めた。 1.新規ゲノム発現制御複合体の同定:in vitro転写系及びクロマチンヌクレオソーム再構成系(当研究室で研究済み)を用いてHeLa細胞核抽出液から精製し、精製された複合体構成因子群をMALDI-TOFMASSにより同定した。更にcDNAスクリーニングにより各々の構成因子の機能を調べた。 2.細胞種特異的複合体構成因子の同定:これら核内複合体の機能は細胞種特異的と考えられる。そこで既知複合体の既知構成因子を各種組織株に高発現させ、複合体を精製することで細胞種特異的構成因子を同定した。 3.染色体構造調節複合体の機能調節の分子メカニズムの解明:最近ではアセチル化、ユビキチン化などの各種タンパク修飾によって機能調節される例が報告されているが、染色体構造調節複合体の構成因子のタンパク修飾による機能調節は全く不明である。そこで、既知核内レセプターコアクチベーター(p160、p68/ファミリー)を用い、各種培養細胞での他の複合体構成因子を同定し、構成因子の複合体構成能とタンパク修飾による機能調節の可能性を検討した。 4.ショウジョウバエを用いた新規染色体構造調節のスクリーニング:申請者らは既に、ヒトアンドロゲン(男性ホルモン)レセプターを組織特異的に発現するショウジョウバエのラインを確立し、リガンド依存的な転写促進をGFPで検出することに成功した。本システムを用いることで哺乳類特異的染色体構造調節因子を発現する各種ラインを確立し、次に特定染色体部位を欠失した各種変異体を交配することで、染色体構造調節因子機能に必須な因子を分子遺伝学的にスクリーニングを行った。更に同定された因子をプローブに複合体を同定及び解析した。
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