研究課題
65個のアミノ酸からなり、分子内にHelix-Turn-Helix構造を含むSenSは枯草菌のアルカリプロテアーゼ構造遺伝子であるaprEの発現を上昇させる。aprEの正および負の制御遺伝子を破壊した株でのepistatic分析と、正負制御因子が作用するaprEの上流領域の欠失株での解析から、SenSは負の制御因子scoCの発現を抑制することが示唆された。そこで、scoC-lacZ fusionとNorthern解析を行った結果、SenSはscoCの発現を転写レベルで制御していることが判明した。すなわち、SenSは負の制御因子であるscoC発現を抑制することによりaprE発現を上昇させていることが明らかになった。しかしながらHelix-Turn-Helix構造を持つタンパク質に特徴的なDNAへの結合が、SenSのターゲットであるscoC上流域では観察されなかった。グルタミン合成酵素glnA遺伝子破壊株ではaprE発現が上昇する。glnA遺伝子破壊株では、aprEの負の制御因子scoCの発現が減少していること、すなわちGlnAはscoCの正の制御因子であることが判明した。これはaprE上流領域の欠失株を用いた結果とも一致する。GlnAは細胞内の栄養状態を検知し、ScoCによってaprEの発現を制御していることが示唆される。aprE発現を制御する因子を検索し、ybaLという機能未確認遺伝子を見いだした。上記と同様の手法を用いて解析した結果、ybaL破壊株ではscoC発現が減少していることがscoC-lacZおよびNorthern解析から判明した。上記3つの遺伝子senS、glnA、salAは偶然にもscoCに影響を及ぼす遺伝子であった。貧栄養の野外に生きる枯草菌にとって、動植物などの生物を分解する手段としてのプロテアーゼの生産制御は生きて行く上で重要な事柄なのであろう。
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Appl.Env.Microbiol. in press
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