研究概要 |
Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)のヒツチジン代謝オペロンの発現は、コハク酸(カタボライト制御)とアンモニア(窒素制御)によって抑制されることを確認した。NtrB-NtrC二成分制御系はヒスチジンを窒素源としての利用するのに必須である。構成的な転写活性をもつNtrCを作る変異株は、アンモニアの制御と同時に、コハク酸によるカタボライト制御も受けなくなる。従って、構成的な転写促進活性を持つNtrCを作るntrC変異細胞の本オペロンは、炭素と窒素の制御を受けなくなると推察され、CbrA-CbrB二成分制御系がヒスチジンオペロンのカタボライト制御を担っていることが示唆されている。本年度は、CbrBは、NtrCの結合配列(AG/CG/CCG/CCA/C-5bp-GG/CTGA/CA/G)を含むDNA断片に結合することを明らかにした。さらに、未同定の誘導性転写因子が関与するポリミアン代謝系(J. Bacteriol.,184,3765 [2002])のカタボライト制御におけるCbrA-CbrBの役割を解明するため、ポリアミン代謝経路を確率することとした。ポリアミン代謝との関連が不明なスペルミジン脱水素酵素(SphD)を精製し、ポリアミンの切断様式を明らかにした。次いで、N末端配列から該酵素遺伝子を特定し、spdH遺伝子破壊を作出した。破壊株はポリアミン資化性を保持していることから、第二の代謝酵素遺伝子の存在が示唆された。本菌はSpdHの他に誘導性のポリアミン分解酵素を持つこと、その誘導性酵素はスペルミジンをジアミノプロパンとアミノブチルアルデヒドに分解することを明らかにした。 枯草菌では、D-グルタミン酸が窒素源となることと、RacEとYrpCの二つのラセマーゼがD-グルタミン酸の利用に必要であること、当該酵素の合成は窒素制御を受けないことを明らかにした。
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