研究概要 |
トウダイグサ科植物に含まれるジテルペンエステル類の骨格合成に関わる酵素を研究する第一段階として、環化酵素生成物と予想される炭化水素の単離構造決定をいくつかの植物を用いて試みた。日本で入手可能なシナアブラギリ、クロトン、ホルト草の3種につき、成分検索を行った結果、ホルト草に微量ながら11種のジテルペン炭化水素を見出した。ホルト草ジテルペンの主成分であるEuphobia factor L1およびL3から合成的に予想環化生成物を調製し、GC-MSを用いて微量成分の中に一致する成分を検索した。ゲラニルゲラニル二リン酸(GGDP)から一挙にtigliane骨格を構築する環化酵素遺伝子を単離するため、シナアブラギリの葉よりmRNAを調製した。これを鋳型として既知のジテルペン環化酵素遺伝子において相同性の高い領域を用いてプライマーを設計しPCRを行った。現在増幅断片のうち可能性の高いものにつき配列解析を行っている。 今回我々はイネの生産するジテルペン系ファイトアレキシンの炭素骨格生合成に関与する酵素遣伝子の網羅的クローニングを行った結果、OsCyc1、OsCyc2は基質であるGGDPをsyn-コパリル二リン酸(CDP)およびent-CDPに変換するジテルペン骨格形成の最初の反応を触媒する酵素であることを突き止めた。次いでOsDTC1、OsDTC2、OsKS4、OsKS10を用いて基質であるsyn-CDPおよびent-CDPの変換反応を追跡したところ、それぞれent-cassa-12,15-diene, stemarene, ent-sandaracopimarradiene, ent-pimara-8(14),15-dieneの生成を確認した。
|