研究課題/領域番号 |
14360075
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伏木 亨 京都大学, 農学研究科, 教授 (20135544)
|
研究分担者 |
都築 巧 京都大学, 農学研究科, 助手 (50283651)
井上 和生 京都大学, 農学研究科, 助手 (80213148)
河田 照雄 京都大学, 農学研究科, 助教授 (10177701)
|
キーワード | 油脂 / おいしさ / 舌リパーゼ / オルリスタット / 味蕾細胞 / エブネル腺 / 化学受容 |
研究概要 |
油脂のもつ高度な美味しさは、食感のような物理的刺激のみならず、味蕾細胞上の受容体への結合といった化学的刺激が関与すると想像されており、近年、食事性脂肪由来の脂肪酸が味蕾細胞で認識されている可能性が報告されてきた。しかし、これらの受容機構はいずれも脂肪酸に対するものであるが、食品中に含まれる油脂のほとんどが中性脂肪であり、この間のギャップを埋める研究は存在しない。 本研究では、放射性同位元素で標識したトリオレインを含むろ紙を乳頭の表面に数秒間接触させた後、直ちに分解生成物を抽出し、薄層クロマトグフィーで各分解物の量比を算出した。その結果・わずか1秒間有郭乳頭上に置いたサンプルからでも、明らかなトリオレインの分解とオレイン酸の生成が認められた。10秒間有郭乳頭に置いたサンプルでは、10%以上のトリオレインが分解されていた。多量のリパーゼを含むエブネル腺分泌液に浸されている有郭乳頭溝内の味蕾細胞近傍では、さらに多くの脂肪酸が脂肪の摂取後瞬時に生成していることが考えられ、食品の中性脂肪の一部が脂肪酸に分解されて味蕾細胞を刺激することを示唆する結果である。舌リパーゼを阻害する薬物であるオルリスタットを混和した油脂溶液を用いて、ラット短時間二瓶選択試験を行った。脂肪酸であるオレイン酸及びリノール酸への嗜好性はオルリスタットの影響を受けなかったが、中性脂肪であるトリオレイン及びトリリノレインへの嗜好性はオルリスタットを混和することにより大きく減少した。食品中の中性脂肪は舌リパーゼで脂肪酸に分解されて初めて好ましい味として選択されることを示唆している。
|