研究課題
1.体内吸収形態の解明:フラボノールをCaco-2細胞の一層培養系に与えると約10%が細胞内に取込まれ、1%が3位のアミノ体に変換されて漿膜側に移行した。漿膜側のアミノ体はその65%が抱合体で、30%が遊離の形態であった。そこで、フラボノールやアルテピリンCなどの様々なポリフェノールを混合物としてCaco-2に与えた。アルテピリンCは速やかに細胞内に取込まれ、細胞内に他のポリフェノールよりも長く留まり、漿膜側には与えた量の14%が放出された。しかも、遊離の形態であった。2.細胞内での抗酸化能を評価:抱合を受けずに摂取した形態でそのまま血中に存在することが明らかになったアルテピリンCについて、これを活性酸素に暴露したHep G2細胞に与えた。アルテピリンCは濃度依存的に遺伝子の酸化を抑え、10μM濃度で8-OHdGの生成量を35%減少させた。3.細胞機能の調節作用を評価:アルテピリンCとフコキサンチンはHT-29細胞の増殖を濃度依存的に抑え、G_0/G_1停止期を誘導した。4.細胞内シグナル伝達系に対する作用を解析:アルテピリンCとフコキサンチンの作用機構は、いずれもp21タンパク質の発現誘導であった。結果として、サイクリンDとサイクリン依存キナーセ複合体量が減少し、Rbタンパク質のリン酸化が抑えられることで転写因子E2Fの遊離が抑えられ、がん細胞をG_0/G_1停止期に誘導した。そこで、アルテピリンCとフコキサンチンを飲料水中50ppm濃度で大腸がんモデル動物に与えると、異常陰窩形成を40〜45%抑えた。5.まとめて総括:本研究では、生体内で有効な生理活性を示す食事成分を見出す手法を確立した。バイオアベイラビリティが高い成分をCaco-2細胞で選択し、その成分の細胞内タンパク質に対する作用を明らかにし、そしてその効果を動物実験で証明する、という手法である。
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