研究課題/領域番号 |
14360077
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
食品科学・製品科学
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
加藤 昭夫 山口大学, 農学部, 教授 (00035114)
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研究分担者 |
内海 成 京都大学, 農学部, 教授 (40111976)
阿座上 弘行 山口大学, 農学部, 助手 (40263850)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | リゾチーム / αラクトアルブミン / オボインヒビター / 酵母Pichia pastoris / グリコシル化リゾチーム / グリコシル化αラクトアルブミン / エラスターゼ阻害 |
研究概要 |
遺伝子工学的な手法による蛋白質の分子設計は食品蛋白質の高度利用に資する情報を得ることができ、その産業的利用にインパクトを与える可能性を秘めている。本研究ではこうした視点から、リゾチーム、α-ラクトアルブミン、オボインヒビターなどの生物活性を有するタンパク質を高度利用するための基礎的知見をうるために、遺伝子工学的な手法で分子設計したタンパク質を酵母で発現分泌し、以下のような興味深い結果を得た。(1)リゾチームを酵母P.pastorisで発現分泌させ、リゾチームの疎水性内部パッキングを強化すると構造安定化リゾチームが得られることを明らかにした。(2)ヤギのα-ラクトアルブミンはリゾチームと構造的に相同性が高いが、その機能は異なっている。α-ラクトアルブミンはAsn^<45>-Asp^<46>-Ser^<47>,Asn^<74>-Ile^<75>-Ser^<76>の2箇所にN-型糖鎖付加シグナルが存在するが、動物細胞では大部分が非グリコシル型蛋白質として分泌する。酵母P.pastorisにおいてαラクトアルブミンを発現分泌させるとグリコシル化αラクトアルブミンと非グリコシル化αラクトアルブミン両方が分泌することが示された。また、45位のAsnをAspに置換すると非グリコシル化αラクトアルブミンが著しく多量に発現分泌することが示された。このグリコシル化αラクトアルブミンがリポポリサッカライドと同様の濃度でマクロファージを著しく活性化し、ネコ乳癌細胞とマクロファージ共存下でグリコシル化αラクトアルブミンを10マイクログラム添加することにより、乳癌細胞がアポトーシスを起こすことを明らかにした。(3)卵白に存在するオボインヒビターを酵母P.pastorisで発現分泌させ、その特性を調べた。オボインヒビターはトリプシン、キモトリプシン、エラスターゼの阻害ドメインをもつ。本研究では各ドメインを遺伝子工学的に個々に断片化し、その性質を調べ、キモトリプシンドメインとエラスターゼドメインの阻害様式を明らかにした。また、トリプシンとキモトリプシンドメインに糖鎖付加シグナルが存在するために、グリコシル化および非グリコシルオボインヒビターが存在することを明らかにし、糖鎖付加により、阻害活性が影響を受ける可能性を示した。
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