研究課題/領域番号 |
14360082
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永田 信 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20164436)
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研究分担者 |
柴崎 茂光 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (90345190)
山本 伸幸 島根大学, 生物資源科学部, 助手 (90284025)
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キーワード | 屋久島 / 循環型社会 / TCM / SAM / 経済波及効果 / 産業連関 / エコツアー / パッケージツアー |
研究概要 |
平成15年度は、前年度に実施したアンケート調査などをもとに観光業に関する現状について分析した。その結果、屋久島を来訪する観光客数は年間20万人前後で、鹿児島県熊毛支庁の公表数値は過小評価であることが明らかとなった。屋久島の観光需要には季節変動が見られ、質的にも春期から夏期にかけては個人客が中心であるのに対して、それ以外の時期は団体客が主体となっていた。またパック旅行客の割合が増えているおり、屋久島が大衆観光地化しつつあることがわかった。さらにエコツアー・登山ガイド業も1997-2002年の間に急激に利用客数を伸ばしており、屋久島の観光業は盛隆期を迎えることが推察された。ただし、山岳地域・世界遺産登録地域への訪問者増加によって、繁忙期にはオーバーユースの可能性があり、環境資産の劣化が憂慮された。この研究については、柴崎ら(2003)に発表された。また屋久島島内の産業構造を把握するために統計資料・聞き取り調査・アンケート結果から各部門別に生産額を約570億円と推計した。産業別に見ると、建設業が20%弱と最も高い比率を占め、製造業、そして観光業を中心とした対個人サービス業が続いた。さらに平成7年鹿児島県産業連関表などを利用して、最終需要が1億円増加した場合に、新規に創出される雇用数について推定した。その結果、最終需要が1億円増加した場合、雇用創出が最も高い産業は、商業(51名)であり、以下農業、その他の公共サービス業、製造業と続いた。また屋久島における中心的な産業である建設業と観光業は、全18部門の8,9番目と中位に位置し、どちらの産業も同程度の雇用創出能力があることが判明した。公共事業の縮小に伴い、屋久島の建設業者で倒産する事業所が見られる一方で、近年民宿などの宿泊施設数が屋久島で増加してきている。従業者が建設業から観光業へシフトすることは実際に起こっており、今後もそうした傾向が続く可能性は高いことがわかった。
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