研究課題/領域番号 |
14360086
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
北尾 邦伸 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (50026390)
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研究分担者 |
土屋 俊幸 東京農工大学, 農学部, 助教授 (50271846)
加藤 衛拡 筑波大学, 農林学部, 助教授 (70177476)
三井 昭二 三重大学, 生物資源学部, 教授 (20262991)
石崎 凉子 森林総合研究所, 林業経営政策研究領域, 研究員
井上 真 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (10232555)
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キーワード | コモンズ / 入会林野 / 市民社会 / 里山 / C・P・R / 自然資源管理 / 近代化 / 地域生態系 |
研究概要 |
研究メンバー各人が日本国内の2〜3ヵ所の調査地域をもって新旧双方の森林コモンズの実態調査を行った。それら調査地は、伝統的な利用関係・権利関係を保持している慣行入会林地や財産区、市民に拡大入会権を設定したり市民の里山ボランタリー主導であったりする新たなコモンズ形成地、などであった。土屋俊幸は、アメリカおよびイギリスの現地調査も実施した。また、3回の討論のための理論合宿を行った。 得られた知見を整理する(1)現在、「コモンズ論」が活況を呈しているのは、「コモンズ」が多義的に用いられているからである。科学技術の「発展・成長」が地球システムの限界にぶつかって「順応」の時代を迎え、先進諸国の経済・生活が地域生態系にランディングしょうとする際の「コモンズ」問題、他方での「テイク・オフ」をめざす発展途上国・地域での「コモンズ」問題があり、これら双方を自然資源の所有・利用と管理の在り方をめぐる共通の場に乗せて認識を深めなければならない。(2)「コモンズ」はイギリスのコミューナル・プロパテイ・リソースによって歴史的規定性を与えられているが、それは共同体の地域住民による権利・管理のもとにあった。しかし、サイバー・サイトではアクセス自由で所有・コントロールから解放された「場所」として「コモンズ」がひろく用いられるようになっている。重なる境界領域を見出し、もっと「重なりとしてのてコモンズ」論を深化さて行かねばならない。(3)日本で厳密な規定を与えられる森林コモンズは入会林野であるが、近代化(テイク・オフ)の過程でそれは私的所有と公的セクターによる公共財に分解してきた。現在多くの日本の森林は、近代的な所有の枠にあって、利用・保全が困難な事態にある(そして、「市場の失敗」と「政府の失敗」の並存状態)。「公」と「私」の境界領域を可能な限りダブらせる「コモンズ」政策が必要となっている
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