研究課題/領域番号 |
14360086
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
北尾 邦伸 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (50026390)
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研究分担者 |
土屋 俊幸 東京農工大学, 農学部, 助教授 (50271846)
加藤 衛拡 筑波大学, 農林学系, 助教授 (70177476)
三井 昭二 三重大学, 生物資源学部, 教授 (20262991)
石崎 凉子 森林総合研究所, 林業経営政策領域, 研究員
井上 真 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (10232555)
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キーワード | コモンズ / 入会林野 / 市民社会 / 地域森林管理 / 循環・共生型社会 / 地方分権 / 住民・市民参加 / 森林ガバナンス |
研究概要 |
本年度も研究メンバー各人が日本国内の2〜3カ所の調査地域をもって新旧双方の森林コモンズの実態調査を行った。それら調査地は、伝統的で慣行的な利用・権利関係を保持している入会林野や財産区、市民に拡大入会権を設定したり市民里山ボランティアが主導したりしている新コモンズ形成地、などであった。加藤衛拡はとくに各営林局に足を運んで明治の国有林野形成期の資料収集に努め、一方でコモンズの解体を図り、他方でそれらを国有林野経営に組み込んでいこうとする歴史過程の分析に挑戦した。また、北尾邦伸、三井昭二、土屋俊幸、井上真、石崎凉子の5人はイギリスでのコモンズの歴史と現状を共同で調査した。これら研究活動を組み込んで、石崎凉子および山本伸幸の2人は博士論文を完成させ(タイトルは「自治体林政の施策形成と財政構造」および「森林と社会の相互依存性把握のための勘定体系の研究」)、博士号を取得した。 ところで、このたび長野県総合開発審議会が「コモンズからはじまる、信州ルネッサンス革命」の副題をもつ「未来への提言」を知事に最終答申した。このことにも見られるように、近年、とみに「コモンズ」が地方分権や「ガバナンス(協治)」と関連させて未来社会に向けての魅力的なタームとして語られるようになってきた。しかし、未だあまりにもあいまいなものにとどまっており、その概念化・理論化が要請されている。本研究会では理論合宿を2度もち、間宮陽介京大教授にも加わってもらって「コモンズと資源・環境問題」への理解を深めた。井上真は「コモンズの思想を求めて」と題する単著を岩波書店から発刊し、北尾邦伸は「森林ガバナンス」や「ローカル・コモンズと公共性」と題する節を「日本環境年鑑2003」(創土社)や樹恩ネットワーク・テキストブックで執筆して試論を発表した。
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