研究課題
セイヨウハコヤナギ(Populus nigra)及びギンドロ(P. alba)の2種類のポプラから、草本植物等の既知の遺伝子情報に基づき、複数のジベレリン生合成系酵素遺伝子を単離した。ジベレリン20酸化酵素はジベレリン生合成のキー酵素といわれており、その遺伝子はポプラゲノム中に複数個存在した。これらが対立遺伝子であるのか、別の遺伝子座に存在するのかは解析中である。また、ジベレリン3β水酸化酵素、ジベレリン2β水酸化酵素、コパリル二リン酸合成酵素、カウレン合成酵素等ジベレリン生合成系酵素の候補遺伝子の単離にも成功しており、これら遺伝子の全塩基配列の決定を進めている。一方、組換えギンドロの作出技術を確立した。この方法では、選抜マーカー遺伝子にフォスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ(bar)遺伝子を用い、選抜薬剤として除草剤ビアラホスを直接使用した。これは、木本植物の形質転換において除草剤を選抜薬剤に用いた最初の例である。このシステムでは、エスケープ個体やキメラ個体は全く出現しなかった。これまで、ポプラではカナマイシン選抜など比較的選択圧の低い抗生物質が用いられ、エスケープ個体やキメラ個体が出現し、効率的な解析の大きな妨げとなっていた。しかし、ポプラでも選択圧が高いビアラホス選抜が可能となり、効率良く組換えポプラの作出が図れ、組換えポプラを用いた遺伝子機能の解析が大きく前進するものと期待できる。なお、セイヨウハコヤナギの遺伝子組換えにも同様の選抜が実施できるよう詳細な条件検討を行っている。
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