研究課題/領域番号 |
14360093
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤川 清三 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50091492)
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研究分担者 |
荒川 圭太 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (00241381)
佐野 雄三 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (90226043)
船田 良 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (20192734)
竹澤 大輔 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (20281834)
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キーワード | 深過冷却 / 北方樹木 / 木部柔細胞 / 凍結適応 / 低温誘導性遺伝子 / 低温誘導性蛋白質 / 低温馴化 / 細胞壁 |
研究概要 |
これまで細胞外凍結により凍結に適応するといわれていた北方樹木の木部柔細胞が、部分的脱水を伴う深過冷却により凍結適応することを明らかにした。これにより厚い・硬い細胞壁を持つ樹木の木部柔細胞はすべて深過冷却で凍結適応することを明らかにした。木部柔細胞の深過冷却能力はこれまで細胞壁の構造特性のみによると考えられていたが、凍結あるいは煮沸などにより細胞壁構造に殆ど影響を与えず、細胞内物質を抽出したハクウンボク、ブナ、シラカンバ、カラマツなどで深過冷却能力が著しく低下することを明らかにした。しかし、このような抽出処理にも拘わらず、過冷却能力は低いながらも残ることから、過冷却能力には細胞壁の構造的要因と、細胞内の成分的要因の両者が関与すると推定した。このため、構造的要因による過冷却能力を見積もるため、原形質分離法を用い、細胞壁のポア・サイズを測定している。さらに、細胞内成分的要因の役割を見積もるため、カラマツ、シラカンバについて可溶性糖質の季節的変化を、深過冷却する木部柔細胞・アポプラスト水分・細胞外凍結する皮層柔細胞について明らかにし、現在解析を行っている。さらに、ディファレンシャル・ディスプレー法により冬季特異的にカラマツ木部柔細胞に蓄積する遺伝子解析を行った。また、シラカンバの木部細胞内溶液を抽出し不凍活性を持つ画分を検索するとともに、冬季特異的に、しかも蓄積量の多い細胞内蛋白質として、エノラーゼ、キチナーゼなどの蓄積を明らかにし、全アミノ酸シークエンスの解読を行っている。
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