研究課題
キチンを塩酸で緩やかに加水分解することで、キチンの表面にNH3+の電荷を有するミクロクリスタリンキチンを合成できることが報告されている。このミクロクリスタリンキチンは水分散系で、キラルネマチック液晶を示す事が知られている。このミクロクリスタリンキチンの表面のカチオンとアクリル酸モノマーがアソシエートすることが期待できるため、ミクロクリスタリンキチン、水、アクリル酸モノマーの3成分による相図を検討した。ここでは、完全な等方相、ゆらぎのある相(Birefrigenceを有する相)、二相、異方性相の4つの相が観察された。この異方性相はキラルネマチック構造を示しており、この3成分系でもライオトロピック液晶を形成することが分かった。この系でこのような詳細な相図が得られたのは初めてであり、この相図をもとにして配向性複合高分子材料を以下のように検討したこの系を用いて、NMR程度の磁場の中で配向がどの様に起こるかを検討した。X線回折図から、二相からキャストして得たフィルムより異方性相からキャストして得られたフィルムの配向性がよりすぐれているのが分かった。また、偏光FT-IRスペクトルにより、アミド、NHが0°方向に配向していることが分かった。せん断力で配向させた場合と異なり、磁場の方向と垂直に配向しているのが分かった。以上のように、ミクロクリスタリンキチンを用いて、光学異方性のあるフィルムを調製できる事が分かった。
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