研究課題/領域番号 |
14360099
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉山 淳司 京都大学, 木質科学研究所, 助教授 (40183842)
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研究分担者 |
馬場 啓一 京都大学, 木質科学研究所, 助手 (20238223)
鈴木 弘志 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (30006449)
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キーワード | ミクロフィブリル傾角 / 小角X線 / FT-IR |
研究概要 |
樹木において外部からの応力に耐え、自らの巨体を支える能力は細胞壁中のミクロフィブリルのヘリカルワインディング構造とそれをとりまくマトリクス成分との相互作用に関係している。この研究では樹体内でいかにMFAと化学成分が変化し、樹体内で最適なバランスを取っているかを探ることを目的とする。試料としてスギ(針葉樹)及びユリノキ(広葉樹;ゼラチン層を作らない樹種)を用いた。枝ではあて材と呼ばれる通常材と異なる構造・化学成分の組織が形成され通常材と異なる応力が発生している。これらの試料の様々な部位から放射光小角X線散乱を用い、ミクロフィブリル傾角を測定した。また同一部位からATR FT-IRにより化学成分分析を行った。スギの枝の各部位ではミクロフィブリル傾角が変化している様子が観察された。細胞壁のレオロジー的特性に影響を与えるとされる非共役カルボキシル基に帰属されるリグニンの量比も変化していた。ユリノキのあて材ではセルロース量が多いゼラチン層が形成されないにもかかわらず上側でセルロース含量が多くミクロフィブリル傾角の小さい様子が観察された。これは上側で引張応力が発生していることを示唆している。スギ、ユリノキいずれの場合でもミクロフィブリル傾角ばかりでなく細胞壁の成分がその部位で要求される機能的特性に対応して変化していることが考えられた。ミクロフィブリル傾角と細胞壁成分との相関も考察し、スギではリグニンとセルロースがミクロフィブリル傾角にそれぞれ正と負の相関関係があり、ユリノキではキシランとミクロフィブリル傾角に正の相関関係があると推定できた。
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