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2003 年度 実績報告書

魚類耳石の微量元素組成および安定同位体組成による回遊履歴の解明

研究課題

研究課題/領域番号 14360109
研究機関三重大学

研究代表者

大竹 二雄  三重大学, 生物資源学部, 教授 (20160525)

研究分担者 比屋根 肇  東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (70192292)
キーワードアユ / ウナギ / マアナゴ / 回遊 / 成長 / 変態 / 耳石 / 微量元素
研究概要

三重県宮川河口周辺域および岐阜県長良川で採集されたアユ、和歌山県串本や伊勢湾(五十鈴川)に来遊したシラスウナギ、茨城県大洗に来遊したマアナゴ仔稚魚などの耳石日周輪紋と微量元素特性の解析により、下記のことが明らかになった。
(1)アユの成長と回遊:河口から流出したアユ仔魚は体長20mm(30日齢)までは河口沿岸域の底層に分布し、その後砕波帯へ移動、体長30mm(90日齢)を過ぎて河口域へと移動し始め、体長50mm(160日齢)頃から遡上を開始した。遡上は早生まれで成長のよい個体から早期に遡上し、遅生まれ個体は若齢、小サイズで遡上にいたることが明らかになった。また早生まれで早期に遡上した個体は河川での成長も良く、早期に大型で産卵することが明らかになった。
(2)ウナギの接岸回遊過程:黒潮からの距離が異なる串本と伊勢湾の五十鈴川に来遊した個体群の平均加入日齢(143.3,142.1日齢)、平均変態開始日齢(100.2,102.2日齢)、平均変態期間(11.9,12.6日)、平均接岸回遊期間(19.7,18.2日)のいずれにも有意な違いはなかった。また、それぞれの場所に加入するまでの平均淡水域進入回数は、いずれも2回であった。これらのことより伊勢湾に来遊した個体が紀伊半島の陸伝いに回遊することが否定された。すなわち黒潮を離脱したシラスウナギが最寄りの河口域を目指して接岸回遊し、その周辺の河川へと加入するものと考えられた。
(3)マアナゴの変態および接岸過程:.変態開始日齢は100〜164日齢であり、接岸日齢は85〜228日齢であった。変態期間は80日におよび、最初の60日間で体形が稚魚型に変わり、その後の20日間で消化器官、鰓、浮き袋、骨格などの内部組織が分化して変態が完了することが明らかになった。また、変態完了後3ヵ月で生殖腺の発達がみられ、性が分化することが明らかになった。なお、調査を行った茨城県沿岸域では、調査個体の87%が雌に分化し、性に偏りがあることがわかった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Tsukamoto K., Otake T., et al.: "Seamounts, new moon and spawning : The search for the spawning site of the Japanese ell."Environmental Biology of Fishes. 66. 221-229 (2003)

  • [文献書誌] Otake T., Hiyagon H.: "Spawning temperature and depth of the Japanese ell estimated by otolith oxygen isotopic composition"Marine Ecology Progress Series. (発表予定).

  • [文献書誌] Otake T.(分担): "Eel Biology (Aida K., Tsukamoto K., Yamauchi K.eds.)"Springer-Verlag Tokyo. 497 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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