研究概要 |
1.魚類ノダウイルス(ベータノダウイルス)SJNNVおよびRGNNVのRNA1とRNA2の完全長のcDNAを合成した。T7プロモーター配列を付加したプライマーを用いてPCRで増幅した後、プラスミドベクターに挿入して、大腸菌を形質転換させ、抽出したプラスミドからRNAポリメラーゼで転写産物を得た。得られた転写産物のE-11細胞およびシマアジ仔魚(SJNNV)またはマハタ仔魚に対する感染性が確かめられたことによって、本ウイルスの感染性in vitro RNA転写系を構築することに成功した。 2.構築したSJNNVとRGNNVの遺伝子操作系を利用し、SJNNV(SJ1/SJ2)とRGNNV(RG1/RG2)間でRNA1とRNA2を相互に交換したリアソータントウイルス(SJ1/RG2およびRG1/SJ2)を作製した。SJ1/RG2およびRG1/SJ2のin vitro転写RNAをE-11細胞に接種した結果、どちらも親株ウイルス(SJ1/SJ2,RG1/RG2)と同様のウイルス増殖がみられた。また、SJ1/RG2あるいはRG1/SJ2ウイルスを含む培養細胞上清をシマアジおよびマハタに仔魚に浸漬接種した結果、RG1/RG2とSJ1/RG2はマハタにのみ、SJ1/SJ2とRG1/SJ2はシマアジにのみ感染が成立した。以上の結果から、RGNNVとSJNNVの宿主特異性を決定する因子は、RNA2あるいはRNA2にコードされる外被タンパク質であることが明らかとなった。 3.上記4種類のリアソータントウイルスをE-11細胞に接種し、15,20,25,および30℃の各温度で培養したところRGNV(RG1/RG2)のみが30℃で増殖したことから、高温下(30℃)での感染性粒子の形成にはRNA1とRNA2の両者が関与することが明らかとなった。
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