研究課題
基盤研究(B)
魚類のエドワジェラ症原因菌Edwardsiella tardaには血清型が多いことから、これまでワクチンの開発は難しいと考えられていたが、申請者は本菌の外膜タンパク質(OMP)のなかで種に共通な37kDaのタンパク質(37kDaOMP)に注目し、本ワクチンの実現に向ける研究として次のことを行った。まず、分離由来魚種および血清型が異なる代表的な菌株で37kDaOMPが共通に存在することを確認した。この抗原タンパク質は1次元のSDS-PAGE-ウェスタンブロットでは1種類と見られたが、2次元電気泳動-ウェスタンブロットにより、等電点が異なる数個のドットとして認められた。しかし、抗原性の強さはそれぞれやや異なるが、アミノ酸シーケンス同一であり、糖鎖付加などの微細な構造のみ異なることが示唆された。また、アミノ酸シーケンスおよび遺伝子塩基配列を完結した結果、本抗原は細菌およびその他生物に広範に存在する酵素GAPDHであることが明らかになった。そこで、大腸菌を用いて37kDaOMP(GAPDH)のリコンビナント生成を行ったところ、生成したタンパク質はGAPDHの酵素活性を有することも確認した。E.tarda菌体から精製した37kDaOMPおよびリコンビナント精製した37kDaOMP(rGAPDH)でヒラメを免疫し、その免疫血清を用いて血清型が異なる菌株間での共通性の確認を行った。また、異なった血清型の菌株で攻撃実験を行ったところ、該当する血清型の菌株はもとより、異なった血清型の菌株との交差免疫原性も確認できた。これらのことから、血清型の異なったE.tardaに対して共通に感染防御性を有する抗原を、リコンビナント生成により大量に生産し、これをワクチンに使用する方法の基礎を確立することができた。
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すべて 雑誌論文 (8件)
Microbiology and Immunology 49巻7号(印刷中)
Microbiology and Immunology 49(7)(in press)
Vaccine 22巻25-26号
ページ: 3411-3418
Vaccine 22(25-26)
Proceedings of The JSPS-NRCT International Synposium, Perspective approaches for environmental and health management in aquaculture, Rayong, Thailand, 2002.
ページ: 119-128
Fisheries Science 68巻Suppl.II
ページ: 1165-1168
Proceedings of The JSPS-NRCT International Synposium, Perspective approaches for environmental and health management in aquaculture, Rayong, Thailand, 2002
Fisheries Science 68(Suppl.II)