研究課題/領域番号 |
14360119
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伏谷 伸宏 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70012010)
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研究分担者 |
中尾 洋一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (60282696)
松永 茂樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60183951)
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キーワード | 深海海綿 / 漁業混獲物 / 医薬素材 / 細胞毒性 / theopederin / セスタテルペン / マクロライド / 構造解析 |
研究概要 |
1.タカアシガニ漁獲混獲物中の海綿の生物活性試験および活性物質の単離 静岡県戸田漁協のタカアシガニ漁業者の協力を得て数種類の海綿を入手し、それらについて12種類の微生物に対する増殖阻害活性、12種類の酵素に対する阻害活性、2種の腫瘍細胞に対する増殖阻害、および血管新生阻害活性を調べたところ、1つの海綿にP388マウス白血病細胞に対して強い細胞毒性が認められた。そこで、本海綿をメタノールで抽出後、細胞毒性を指標に、溶媒分画、各種クロマトグラフィーで活性物質を分画し、最終的にHPLCで精製して活性物質を得た。現在、その構造を解析中である。 2.深海海綿からの細胞毒性物質の単離と構造決定 先に、奄美大島沖の大島新曽根においてドレッジにより採集した海綿のうち、有望な細胞毒性をを示したDiscodermia japonicaから活性物質の単離を試みたところ、HeLa細胞に対してIC_<50>1.8ng/mLの強い細胞毒性をもつ化合物が得られた。各種機器分析により構造解析を行った結果、カリブ海産深海海綿から報告されているtheopederin Kと一致した。 次ぎに、同海域で採集したStoeba extensaから細胞毒性物質を検索したところ、2つの既知化合物(12β-hydroxyheteroneminおよびhalisulfate 7)とともに、shinsonefuranと命名した新規セスタテルペンを分離した。この新規化合物の構造を機器分析と化学的手法により解析した結果、wriddol骨格をもつこれまでにない構造のセスタテルペンであることが分かった。なお、halisulfate 7の立体構造も同時に訂正した。
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