研究概要 |
前年度までに得られた研究成果に基づき,本年度の研究を以下のように行なった。 環境にやさしいEco-Dietの開発には,リン含量の低い飼料原料を配合する必要があり,まず基本となる魚粉および植物性飼料原料の安全性および利用性の把握が重要なポイントとなる。さらに,魚粉の質と植物性飼料原料の併用配合の影響を明らかにする必要がある。そこで,先ず次のような実験を行った。 1.Eco-Dietの開発には,リン含量の低い植物性飼料原料中のリンの利用率を第一に把握する必要がある。そこで,大豆油粕およびコーングルテンミール等に含まれているリンの吸収率をニジマス,ブリおよびマダイについて,測定した。 2.魚粉と植物性原料を併用すると,飼料中のリンの含量は,飼料中のリン含量は低くなるが,飼料由来の由来の有効リン含量が低くなる。そこで,原料由来のリンの利用率を高める為に,クエン酸を添加した飼料で,ニジマス,ブリおよびマダイを飼育した結果,クエン酸を1%程度添加することにより,リンの吸収率が向上し,原料由来のリンの利用率が高くなった。そのことにより,魚から排泄される飼料由来のリンの量も低減した。 3.飼料に用いる低リン飼料の主要な原料となる植物性タンパク質は,現在では遺伝子組換作物由来のものが多くなっているので,その安全性を検討するために,遺伝子組換作物を含む大豆油粕配合飼料をニジマスに給餌し,成長,各組織への組換遺伝子の残存について,検討した。その結果,成長への影響はみられなかった。また,各組織への組換遺伝子の残存が確認されたが,組換遺伝子が含まれない飼料で飼育すると,5日ほどで確認されなくなった。
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