研究課題/領域番号 |
14360123
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
緒方 武比古 北里大学, 水産学部, 教授 (00104521)
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研究分担者 |
小檜山 篤志 北里大学, 水産学部, 助手 (60337988)
小池 一彦 北里大学, 水産学部, 講師 (30265722)
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キーワード | 麻ひ性貝毒 / 渦鞭毛藻 / 混合栄養 / アミノ酸 / Alexandrium / 貝類養殖 / 窒素利用能 |
研究概要 |
1.まず、本研究でこれまで対象としてきたAlexandrium tamarenseおよびA.catenella以外のAlexandrium種にも混合栄養性が見られか否かを検討した。その結果、タイ産A.minutumは尿素やアミノ酸の供給によっても生長せず、これらの利用能がないものと判断された。このことは、同じAlexandriumでも生息環境や系群により混合栄養性は異なることを示唆した。 2.次に、A.tamarense、A.catenellaについて完全従属栄養が可能かどうかを検討した。その結果、アルギニンでは暗条件下で死滅傾向を示したが、アルギニンに加えてグルコースを大量に供給すると細胞数は長期間維持された。この結果は有機物が十分供給されれば両種が非光合成的に生息できる可能性、ならびに有機物利用は光合成無機栄養に適さない環境での生き残り戦略である可能性を示唆した。 3.さらに、A.catenellaについて無機態窒素を供給した場合と比較して窒素源にグルタミンを用場合、発現が増大する遺伝子を、subtractive hybridization法を用いて探索した。その結果、グルタミン培養細胞でmRNA蓄積量が増大すると予想されるcDNA群を得、そのうち7つについては塩基配列および演繹アミノ酸配列を明らかにすることができた。現在、これらの詳細を検討中である。 4.最後に、混合栄養の意義について検討した。その結果、大船渡湾海水のAlexandrium増殖促進能は無機態窒素濃度に比べてアミノ酸濃度との相関がより高いことなどが明らかとなった。さらに、ホタテガイなどの飼育海水は両種の増殖および毒生産を著しく促進することも明らかとなった。これらの結果は、有毒渦鞭毛藻の発生・毒生産と養殖振興の関わりや、これらの移動、定着機構など理解に栄養環境応答機構の解明が極めて重要であることを示唆した。
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