研究概要 |
研究2年目となる本年度は,昨年度開発した(インターネットを利用した)ネットワーク型せり実験システムを改良するとともに,より大規模な実験を行った.また昨年度行った実験の分析を進め,その結果を関連学会(日本農業経済学会,日本大学)で報告した(ただし,学会開催は2004年3月末であるため,本原稿執筆時では予定). 昨年度開発したシステムは,小規模の実験の結果,入札が一度に集中した場合などにやや安定性に欠けることや,一般消費者などが参加者となる場合,コンピュータに不慣れな者が入札に惑うなど,よりユーザーフレンドリーな画面にする必要があることも明らかになったため,本年度は大幅にシステムを改善し,実際に主婦などを対象に大がかりな実験を行った.実験は,聖徳大学(松戸)にて2003年8月に消費者団体のメンバー50名程度を集めて行った.その結果,使用画面はわかりやすくなったものの,競りを中止する者の扱いに欠点があることなどが判明した.また,昨年の少人数の実験に比べ,所要時間が人数に比例して非常に長くなることも判明したため,今後は,入札手順を簡略化するなどの改良が必要であることがわかった. また,昨年度行った実験データを解析した結果,WTPの決定要因として,実験会場ダミー(松戸)と性別ダミー(男性),サルモネラ汚染率の主観的評価が正の影響を,そして通常購入している普通卵の価格が負の影響をWTPに与えていることが明らかになった。また、入札価格と前回の落札価格との間には,強い正の相関関係が計測され,入札回数が進むにつれてWTPの変動を説明できる部分が小さくなる傾向が見られた.
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