研究課題
基盤研究(B)
当初の計画に沿って、初年度および次年度を全国的な動きを探る年度とし、国内の動きを広く探るために、北は北海道から南は沖縄まで、部分的に手分けしながら、概括的な調査をおこなった。それ以降は各自で対象を特定した研究を進め、岩手県、長野県、岐阜県、滋賀県などの農村女性活動を具体的な調査対象として研究を進めてきた。また、地域的な枠組みを超えて広がる全国的なネットワーク組織も対象とした。研究の公開としては、論文形式のほかに、研究代表者は農村社会学の国際学会において報告をおこなったことも特筆できる。単年度の実績報告とも重なるが、冊子体に結実した成果の概略は以下のとおりである。秋津は海外における農村女性研究をレビューし、そこから日本における現在の研究課題を明らかにした。また、岐阜県における農村女性による株式会社をとりあげ、女性と地域や会社への愛着との関連について考察した。藤井は、地域女性リーダーの現れ方について長野と沖縄の事例を比較し、女性がなぜ地域女性リーダーへの道を選ばないのかという問いを掲げ、「場」という概念を援用しながら、女性独自の生活フィールドを肯定しようとした。澁谷は、家族農業経営における女性農業者の自立について、女性リーダーを多く輩出するコーホートに注目し、東北の農村女性には子育て期の離職がないことを発見して、そこに結果としての女性の自立の原因を探っている。大石は、全国規模で展開する「田舎のヒロインわくわくネツトワーク」に自らメンバーとして加わりながら、いかにして社会運動的な活動が志向されるに至ったのか、ネットワーク作りという活動手法が農村女性のエンパワーメントに果たしてきた役割は何か、さらには脱地方としての全国ネットワークが再帰的に地方にもたらすものがあるのかどうか、といった点について考察を加えている。これらの成果は、農村女性研究の学術的底上げに貢献するものである。
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すべて 雑誌論文 (15件) 図書 (1件)
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