研究分担者 |
安部 新一 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (30326730)
橋本 卓爾 和歌山大学, 経済学部, 教授 (90279399)
大西 敏夫 大阪府立大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90233212)
小野 雅之 山形大学, 農学部, 教授 (90224279)
細川 允史 酪農学園大学, 酪農学部, 教授 (70295898)
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研究概要 |
近年,梅干需要の増大に伴い,国内産の不足や生産の豊凶差が著しいことが原因となって,輸入原料の増加が顕著である.生果換算では2000年産で加工原料全体の57%を輸入原料が占めている.とくに,「原料原産地表示」の義務化以降の動きとして,国内加工業者のなかには,中国に進出し最終完成品の生産に着手する業者も現れるようになった. 国内のウメ生産・加工をみると,和歌山県のシェアが大きく,高品質の多収量型品種である「南高梅」を主力として,2000年現在では,全国収穫量の約55%,全国ウメ加工原料仕入量の約70%(一次加工原料のみでは94%)を占めている.さらに,加工業者の自県産充足率では99%を示すなど,「地域産業複合体」として生産者と加工業者との結合関係が強いことも大きな特徴である. 一方で,原料の供給構造の変化は著しく,国内においては県内外(主力産地である紀南地域以外の県北部,鹿児島県,愛媛県など)に「南高梅」を主力とする新たなウメ産地が形成され,産地間競争も激化しつつある.また,中国南東部の福建省・広東省にまたがる地域では,「白粉・青竹」を主力品種とする約6万トン相当の原料ウメ(和歌山県に匹敵する量)が日本向けに生産・出荷されており,安価な人件費を背景とした圧倒的な価格差で日本国内の小売市場での競争力を発揮している. 近年,後発の中国系業者が参入し,台湾系業者との価格競争を強めていることから,現地加工場への原料入荷価格が大きく引き下げられ,生産者の営農意欲の後退を招き,品質や園地管理レベルが低下していることから,自然淘汰的に需給バランスが図られるという見方が強い.
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