研究課題/領域番号 |
14360133
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
藤田 武弘 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 講師 (70244663)
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研究分担者 |
安部 新一 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (30326730)
橋本 卓爾 和歌山大学, 経済学部, 教授 (90279399)
大西 敏夫 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (90233212)
小野 雅之 山形大学, 農学部, 教授 (90224279)
細川 允史 酪農学園大学, 酪農学部, 教授 (70295898)
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キーワード | 食品産業 / 食品表示 / 地域産業 / 食の「安全・安心」 / 原料調達の国際化 |
研究概要 |
比較的堅調に推移してきた「青梅」価格は、2001年にかつてない大幅な価格下落に見舞われた。その背景には、輸入原料の増大と併せて、国内他産地(和歌山県以外)において他果樹、あるいは野菜からウメへと転換が進み、ブランド品種である「南高梅」の栽培が四国や九州地方へと拡がりをみせていることが指摘できる。 これらの事情に鑑みれば、ウメの価格下落を一過性のものではなく「構造的過剰問題」の局面が顕在化したものと捉えることもできる。 一方で、これまで形成されてきた「地域産業複合体」とも称すべき、生産から流通・加工、販売までが一体的に地域経済の核をなしてきた構図にも揺らぎが生じつつある。実際に、「原料原産地表示」の義務化以降に、和歌山県内に本拠を持つウメ加工業者数社が、一次加工原料に製造に留まらず中国本土での最終製品製造・販売に着手し始めている。それらの商品は主として量販店向けの業務需要に限られるとはいえ、地元での雇用やウメ関連産業の事業(製造プラント、資材、使用原料[調味液・塩など]、印刷、容器、運送など)活動に波紋を拡げつつある。 これらに加えて、加工原料の「安全・安心」の確保をめぐって、生鮮品で導入が進みつつあるトレーサビリティ(追跡可能性)への要請が高まっており、国内産地はいうに及ばず中国の原料ウメ産地においても、専門の技術者を派遣し園地管理を徹底する等の対応が急速に進められている。 しかし、これら原料調達を取り巻く環境変化に直面しながらも、翻ってウメ産業に関わる経済主体(生産者・農協、産地仲買業者、加工メーカー、関連産業等)間の行動様式をみると、当面する利害に振り回されるきらいが強い。食品産業と国内農業との持続的・安定的な連携関係を確立するためには、関係主体の利害を調整しコーディネートするための組織づくりが課題となっている。
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