研究課題/領域番号 |
14360135
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
上路 利雄 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (30184922)
|
研究分担者 |
下渡 敏治 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00120478)
中島 正道 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (30250989)
樋口 貞三 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (50003752)
安村 碩之 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (60059912)
伊豫 軍記 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (70059517)
|
キーワード | 製品差別化戦略 / 地産地消運動 / 使用原料の原産国表示 / 販売チャネルの多様化 / 加工適正を備えた品種開発 / ニッチ市場をねらった販売戦略 / 供給と需要の間のミスマッチ / フードシステム |
研究概要 |
わが国の食料自給率低下は、先進諸国に例を見ない水準にまで低下している。その要因として、輸入農産物は安価で安定供給され、品質も近年著しく向上しているのに対して、日本農業は高齢化・労働力不足・高賃金化が進展し、国産農産物は割高で供給不安定といった国内農業の供給力低下が指摘されてきた。しかし、国内農業の供給力低下が、即輸入農産物の増加につながったのではない。農産物は、生食用だけでなく、加工用・業務用としても多く需要されており、それらの実需要者は加工業者や外食産業、それらを仲介する卸売商やベンダーである。わが国農業が供給する農産物と実需要者が欲する農産物の間には、いくつかの面でミスマッチが生じており、国産農産物の活用増進のためには、まず国産食材が利用されている実態と問題点をフードシステム全体について把握する必要がある。幸いにも近年、消費者には国産食材の良さが見直されつつあり、この点を訴求した製品開発・差別化戦略を図るならば、国産食材への需要が増加するであろう、というのが我々の基本的立場である。 本年は、データ収集と実態把握に研究の中心をおき、たとえば、醤油や製麺などの業界では輸入原材料の使用比率が圧倒的に高いが、一部の企業で国産大豆使用や地産地消運動を意識した製品開発を、ナチュラルチーズ製造業では生産の歴史が浅く小規模であるため、高価格・汚水処理が大きな問題であること、馬鈴薯では生食用ではなく加工適性を持った品種改良が、米飯加工品では大手企業との価格競争よりも地元産の雑穀や古代米を使用した製品差別化戦略が、総菜業では販売チャネルの多様化が進展しておりOEM先からの情報提供による製品開発が、また各食品に共通する問題として、ニッチ市場をねらった販売戦略や消費者グループとの提携、食品の安全性確保のために使用原料の原産国表示の法的義務付けが、重要であること等の成果・知見を得た。
|