研究課題/領域番号 |
14360136
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
農業経済学
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
大内 雅利 明治大学, 農学部, 教授 (60147915)
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研究分担者 |
合田 素行 農水省, 農林水産政策研究所・評価・食料政策部, 環境評価研究室・室長 (40134457)
石月 義訓 明治大学, 農学部, 助教授 (90222992)
廣政 幸生 明治大学, 農学部, 教授 (00173295)
加瀬 良明 明治大学, 農学部, 教授 (00204412)
西澤 栄一郎 法政大学, 経済学部, 助教授 (30328900)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | 循環型社会 / 環境保全型農業 / 都市と農村 / 畜産廃棄物 / 地域資源循環 / バイオマス / 持続的発展 / 農業・農村の役割 |
研究概要 |
当研究においては、以下の結果が得られた。(1)循環型社会形成における農業・農村の役割はきわめて大きいが、そのためには当の農業が循環的なものでなければならない。農業の近代化(化学化と機械化)は食料の大量生産・大量消費を可能としたが、農業がもっていた自然循環は分断された。かつての資源循環的な農業を現代にあわせて再構築する必要がある。そこにこそ動植物の生命活動を基礎とする農業が果たすべき役割があろう。(2)農業の近代化の端的な例が家畜糞尿処理問題である。家畜使用密度が高いオランダやベルギーでは過剰な糞尿による環境負荷の増大を抑えるために、家畜使用頭数の削減が求められている。日本においてもあらためて耕畜連携が課題となろう。(3)これは大量の飼料を輸入に依存している日本の畜産に対する警鐘ともなりえる。日本という単位で考えれば、資源を国外から輸入し、国内で消費し、国内に廃棄しているに等しく、正常な物質循環からは程遠いからである。(4)現代にあわせた資源循環の試みとして、堆肥化センターなどによる再資源化事業が各地でなされている。しかし収益性を向上させるための多大の努力にもかかわらず、ほとんどの経営は赤字である。経済的にみれば成り立ちがたいのが現状である。デンマーク等でのバイオマスプラントはエネルギー政策の面から政府の支援を受けている。(5)循環型社会は狭域の循環と広域の循環が複雑にからみあいながら重層している。循環の単位が多層的なのである。たとえば、農業・農村という狭域の循環と、都市と農村をつなぐ広域の循環があるが、両者の関連は必ずしも分明となっていない。(6)地域の循環システムを支えるためには、住民の参加が不可欠である。生ごみの堆肥化事業を支えているのは、生ごみの分別により多くかかわる主婦層である。このように地域循環システムは地域社会のあり方と密接に関連する。(7)世界的にみれば、先進国と途上国の相違が大きい。環境先進国である北欧やドイツなどでは環境問題の解決を循環型社会に求めているが、途上国では貧困問題の解決なしには環境問題の抜本的解決は困難である。
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