研究概要 |
新潟県大島村、岐阜県恵那市、茨城県つくば市における耕作放棄田を対象として選定した。植物区系で区分すると、大島村は日本海地区、恵那市はソハヤキ地区、関東むつ地区に属している。これによって、わが国の基本的な植物区系のほぼ全てからサンプルを得ることができると考えられる。 本年度は以下のような調査を行った。 (1)耕作放棄田の空中写真による判読後、選定した圃場に対するアンケート・農協における聞き取り調査によって放棄後の履歴を明らかにすると共に、個々の圃場の植生調査を行った。(2)耕作放棄田の復田費用の把握のため、地元業者・農家から聞き取り調査を行った。(3)GISソフトを整備すると共に、恵那市の調査地区の画像に放棄田をプロットするなど基礎的作業を行った。 調査研究で把握できた事項は以下のようである。 (1)茨城県の耕作放棄田においては、レッドデータブックの絶滅危惧II類にリストされているタコノアシ(Penthorum chinense Pursh.)を確認したため、これらの分布および環境条件を調査し,個体群の維持に関わる放棄水田の環境特性を把握するとともに,休耕田・放棄水田において保全するための指針を検討した。 (2)恵那市の耕作放棄田は、他の2地区と異なり放棄後も継続的な管理が行われているものが多く、このため、植生の遷移形態も異なっていた。このため、放棄後の管理が植生や圃場条件にあたえる影響を検討するのに好適な事例として捉えることができそうである。 (3)大島村の耕作放棄田においては復田費用の見積調査によって導かれた特性曲線(ロジスティック曲線)をもとに、復田を繰り返した場合の経済評価の方法としてトータルコストの算定方法を検討し、費用比較を行った。大島村の乾地型耕作放棄田における試算では、耕作放棄初期における復田を繰り返すことが、経済的にはメリットがあることが明らかとなった。
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