研究分担者 |
井上 英二 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (00184739)
中野 芳輔 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (60038320)
四ヶ所 四男美 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (80038265)
原口 智和 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (90346833)
平松 和昭 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (10199094)
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研究概要 |
水草の存在が密度成層水域の吹送流流動に及ぼす影響を定量的に把握するために,室内水理実験を行った.そこでは,浮葉性植物および沈水性植物を,それぞれ発泡スチロール板および針金で模擬した.浮葉性植物を摸した実験の結果,水草の水面占有率の違いによって,吹送流型2成層流における上層の乱流エネルギーの収支に差異があることが認められた.すなわち,水草端近傍での剪断流に基づく乱れエネルギーの生成量は,水草占有率の増加に伴って小さくなり,界面近傍では水草占有率に関係なく乱れエネルギーの生成量は極めて小さかった.一方,乱れエネルギーの消散については,表層では乱れエネルギーの生成量と同様に,水草占有率の増加とともに小さくなり,界面近傍では,表層とは逆に水草占有率の増加とともに大きくなる傾向があった.これらの結果は,水草占有率の増加とともに浮力項が小さくなる,つまり連行規模が小さくなることを示している. 沈水性植物を模した実験では,沈水性植物が存在する場合の密度界面近傍に輸送される乱流エネルギー量は植生のない場合に比べて増加した.この乱流エネルギー量の増加によって,密度界面の連行速度が大きくなるものと推察される.連行速度は浮葉性植物の結果に比べても大きくなった.乱流構造に関しては,密度界面の連行現象に密接に関係している乱流エネルギー量が,境界面付近でも大きくなる結果が得られた. 水理実験に加え,浮葉性植物が熱的擾乱に伴う溶存酸素(DO)の日サイクル運動に与える影響を検討するために,現地観測を行った.観測の結果,浮葉性植物のある閉鎖性水域では,熱的擾乱のみが作用する場合,(1)植物があるところのDOは,光合成のために植物がないところに比べ高い濃度を示すこと,(2)浮葉性植物の有無に関わらず,水温およびDO濃度は日中の成層化と夜間の混合層形成の日サイクル運動を行うことがわかった.
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