研究概要 |
本研究は、ほ場内など限られた領域を走行する車両を対象として、複数のセンサから成る位置検出システムを開発し、高精度の位置検出装置を低コストで提供することを目的とする。今年度は主に、植物を反射対象とした超音波速度計の実験,前進速度のみではなく横滑りも含めた速度ベクトルを検出する実験,およびマシンビジョンにより車両の動きを検出する実験を行った。主な研究成果は以下の通りである。 (1)田植機や水田管理機の制御を行うため,水田で車両速度を検出したいというニーズがある。この場合,水面では音波の後方反射をとらえることが出来ないので,稲からの反射を測定する必要がある。このことを考慮して,擬似植物体を反射対象とした速度計測の実験を行った。その結果,速度計の取り付け位置と角度を適切に設定すれば,土壌面を反射対象とする場合と同程度の精度で対地速度を測定できることが明らかになった。 (2)超音波速度計で車両の速度ベクトルを測定するための基礎実験を行った。進行方向に対して斜めに速度計を取り付けて測定を行った結果,理論通りの出力が得られた。これにより,横滑り等を含めた車両の速度ベクトルを高精度に測定できることが明らかになった。 (3)CCDカメラとコンピュータの低価格化によって,マシンビジョンをナビゲーションに利用することが現実的になってきた。そこで,これまでのセンサに加えてマシンビジョンを用いることを試みた。ハフ変換により高速にオプティカルフローを検出するプログラムを開発し,実験を行った結果,マシンビジョンより車両の姿勢変化と速度ベクトルを測定できる可能性が示された。
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