研究概要 |
本研究は、ほ場内など限られた領域を走行する車両を対象として、複数のセンサから成る位置検出システムを開発し、高精度の位置検出装置を低コストで提供することを目的とする。今年度は主に、マシンビジョンにより車両の移動ベクトルを検出する実験、および操向制御実験を行った。主な研究成果は以下の通りである。 (1)CCDカメラとコンピュータの低価格化によって,マシンビジョンをナビゲーションに利用することが現実的になってきた。そこで昨年度より,これまでの内界センサに加えてマシンビジョンを用いることを試みている。昨年度までに,ハフ変換により高速にオプティカルフローを検出するプログラムを開発した。今年度はこれを改良して,オプティカルフローの検出を更に高速に行い,そのデータからカメラの移動ベクトルを検出できるようにした。実験の結果,一回の計算を約0.3秒で実行でき,平坦な草地において水平移動を行った際の誤差は移動量の数パーセント以内に収まった。 (2)マシンビジョンによる田植機の操向制御実験を行った。これは直進中の田植機の運転を自動化することで,オペレータの負担を減らし,また苗を供給する際の作業の中断を不要にすることで,作業効率を高めようとするものである。マシンビジョンによって先に植えた苗列を検出し,それに沿って直進するように自動操舵を行う装置を開発した。長さ100mの圃場で10行程の植え付け試験を行った結果,各行程における走行軌跡の目標線からの標準誤差は50〜100mmであり,実用化への見通しが得られた。
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