研究概要 |
流体計測法として広く利用されているPIV(粒子画像流速測定法)に基づく土の変位計測オンライン計測システムを開発した.精密車輪実験装置と本計測システムを用いて剛性車輪走行時の車輪-地盤接触部近傍の土の変形現象を計測,解析を行うとともに,得られた結果の妥当性を検討した.さらに,計測された土の変位から算出されるひずみ増分データを下負荷面モデルに基づく応力算定プログラムに入力して地盤内応力の予測を行うとともに,小型圧力センサを用いて開発した応力センサによる実測結果と比較・照査して,予測結果の妥当性について調べた.本研究で得られた知見は以下の通りである. (1)開発した計測システムで得られた土の変位データを研究代表者等が以前開発した計測法(従来法)の結果と比較したところ,両者に良い一致が確認され,計測精度面での本計測システムの妥当性が実証された.また,開発した計測システムは,土層側面に配置したマーカの動きより土の変位を計測する従来法とは違い,土の変形状態を直接可視化・数値化してその変位を計測するので,マーカ配置が困難な走行車輪下近傍の土の変形現象についても高精度に計測し得る点を特徴とする. (2)表層付近の地盤はすべり率に関係なく車輪の走行により膨張し,その下に圧縮領域が形成されることを明らかにした.特に,すべり率が大きい場合には表層領域の膨張が顕著となるとともに,周期的に膨張の度合が強弱に変化し分布むらが生じる. (3)土中鉛直応力は,車輪の接近とともに負側に増大して車輪直下がセンサを通過する前にピーク値を示した後,徐々に開放されてゼロとなる.また,応力のピーク値はすべり率の増加とともに減少する. (4)得られた変位データからひずみ増分を下負荷面モデルに基づく土の弾塑性構成式に代入して予測された地盤内応力は.定性的では開発した応力センサの値と一致する.
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