研究分担者 |
吉田 敏 九州大学, 生物環境調節センター, 助教授 (90191585)
河野 俊夫 高知大学, 農学部, 助教授 (60224812)
石川 勝美 高知大学, 農学部, 教授 (20117419)
荒木 卓哉 九州大学, 生物環境調節センター, 日本学術振興会特別研究員
江口 壽彦 九州大学, 生物環境調節センター, 助手 (40213540)
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研究概要 |
植物生産は,根による養水分(水,無機イオン)の吸収および吸収された養水分と葉での合成産物(糖,アミノ酸など)の各植物器官への集積に依存している.本研究では,実験室および生産現場の植物個体および個体群において,インタクトの根の物質吸収機能および収穫対象器官への師管経由と道管経由の物質集積機能の評価法を確立して,これらの機能に対する環境の作用機作を定量的に解明し,生産現場での律速要因を明らかにすることを目的としている.さらに,定量的な生理学的情報が得られていない海洋深層水と機能水(電解水など)の施用効果および水上栽培による水質浄化効果を,物質吸収機能と物質集積機能に関連させて解析し,それらの合理的利用法を検討することを目的としている.本年度においては以下の成果を得た. 1.水耕栽培ベッド上の植物個体群を対象にして,根の吸水速度のオンライン計測システムを開発し,ビニルハウス内の栽培ベッド4系統に設置した.さらに,栽培ベッドの水耕液中の無機イオンの収支に基づいて,栽培ベッド上の植物個体群の根による無機イオンの吸収速度の評価法を確立した. 2.トマト植物個体群において,果実へ集積する物質(汁液,糖,無機イオン)の,師管経由および道管経由の集積量を分別評価する方法を確立し,果実への物質集積に対する短期間の塩ストレス処理などの効果を定量的に解析した. 3.植物個体用の圧力水流計測制御システムを開発し,栽培ベッドで生育中の植物個体の各器官の水通導抵抗の分別評価法を確立した. 4.サツマイモにおいて,塊根への物質集積に対する塊根および細根の温度の影響を解析した. これらの成果は,カナダでの国際園芸学会,日本生物環境調節学会、日本園芸学会,日本作物学会などで多数発表され,現在,数報の論文に取りまとめ中である.
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