研究課題
基盤研究(B)
ニワトリMx遺伝子の多様性とin vitro感染実験を行った結果、631番地のアミノ酸がAsnの場合抵抗性、Serの場合感受性であることを明らかにしてきた。大学内のニワトリ飼育施設において、ロードアイランレッド系を用い、抵抗性ホモ型、感受性ホモ型、およびそれらのヘテロ型を産出する実験家系群を作成した。次に、ニワトリMx遺伝子の多様性と抗病性形質が、その祖先種である野鶏とどのような遺伝的関係を持っているか解析するために、赤色野鶏2種(ラオスおよびインドネシア由来)、灰色野鶏、緑襟野鶏、セイロン野鶏のMx遺伝子の抵抗性・感受性決定部位を含むエクソンの塩基配列を決定した。その結果、ラオス由来の赤色野鶏だけが抵抗性タイプで、他の野鶏は全て感受性タイプであった。このことから、ニワトリにおいてもともとMx遺伝子は感受性タイプが祖先型であるという仮説が導き出された。もし、この仮説が事実だとすると、ニワトリ近縁のキジ科のトリのMx遺伝子の631番地は感受性のSerでなければならない。そこで今回、ウズラと七面鳥のMx遺伝子のcDNAをクローニングし、その塩基配列を調べたところ、いずれも631番地は感受性タイプのSerであった。また、アヒルやガチョウを調べた結果でも感受性タイプであった。このことから、トリは本来感受性タイプのMx遺伝子が祖先型で、抵抗性タイプは家禽化に伴って新たに出現したと示唆された。今後は、感染実験を行って、実際に感受性であるのか確かめる必要がある。
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