研究課題/領域番号 |
14360162
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
麻生 久 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (50241625)
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研究分担者 |
渡邊 康一 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (80261494)
大和田 修一 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (00183244)
山口 高弘 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20111297)
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キーワード | ウシ筋肉内脂肪前駆細胞 / BIP細胞 / 脂肪細胞分化 / 脂肪交雑 / サブトラクション / 12型コラーゲン / アイソフォーム |
研究概要 |
本研究は黒毛和種牛より樹立した筋肉内脂肪前駆細胞株(BIP細胞)を用いて、脂肪細胞になる前の細胞(脂肪前駆細胞)が脂肪細胞へ分化する際に、特異的に発現する新規な遺伝子を同定し、脂肪交雑機構の解明を行うことを目的としている。 今年度の研究成果は、BIP細胞の細胞増殖期と脂肪細胞分化誘導後の遺伝子群で引き算(サブトラクション)を行い、牛の脂肪細胞分化過程において12型コラーゲンが新規に誘導されることを見出したことである。具体的には、サブトラクションにより得られた2種類の遺伝子は、マウスおよびヒトの12型コラーゲンα鎖3'末に95%以上の相同性が確認された。12型コラーゲンには4種のアイソホームが存在し、単離した遺伝子の1つは12型コラーゲンの2型アイソホームであり、他方は中間部に欠落が認められることより1型アイソホームであることが判明した。脂肪細胞に分化したBIP細胞では、ノーザンブロット解析により主にA-2型アイソホームが発現していること、また、RT-PCR解析より分化誘導4日目から発現することが確認された。これまで12型コラーゲンは眼球組織と軟骨組織での発現が報告されているが、本研究により脂肪組織においても発現している可能性が示唆されたため、黒毛和種牛の13種の組織での発現を検討した。12型コラーゲンは、脂肪組織(皮下、腹腔内、腎周囲、腸間)、脳、肺の各組織で発現が認められ、皮下脂肪ではA-1型およびA-2型アイソホームが発現していたが、他の組織では主にA-2型アイソホームが発現していた。また、心臓、肝臓、脾臓、腎臓、小腸の各組織における12型コラーゲンの発現は認められなかった。以上、本研究により12型コラーゲンが脂肪細胞および脂肪組織において発現し、その主なアイソホームはA-2型であり、脂肪細胞分化に深く関わっていることが明らかとなった。
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