研究課題/領域番号 |
14360162
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
麻生 久 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (50241625)
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研究分担者 |
渡邊 康一 東北大学, 大学院・農学研究所, 助手 (80261494)
大和田 修一 東北大学, 大学院・農学研究所, 助手 (00183244)
山口 高弘 東北大学, 大学院・農学研究所, 教授 (20111297)
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キーワード | ウシ筋肉内脂肪前駆細胞株 / BIP細胞 / 脂肪細胞分化 / 脂肪交雑 / サブトラクション / 遺伝子解析 / PPAR_γ2 / C / EBPα,β |
研究概要 |
今年度はサブトラクション法により分離した621クローンの遺伝子断片の塩基配列を決定し、BLASTホモロジーサーチを行い、得られた遺伝子の分類を行った。既知遺伝子443クローン(149遺伝子)、ESTとのホモロジーが得られたものが124クローン、いずれの遺伝子とも相同性がなかった未知遺伝子が54クローン得られた。既知遺伝子をグループ分けすると、転写・翻訳関連遺伝子が18.8%、代謝・合成酵素が16.8%、細胞外マトリクスが15.4%、シグナル伝達系が13.4%、分泌タンパク質が10.1%、その他15.4%であった。しかし、得られた遺伝子の中には脂肪細胞分化のマスターレギュレーターといわれるPPAR_γ2は存在しなかった。そこでBIP細胞のPPAR_γ2発現の経時変化を検討した結果、細胞増殖期のBIP細胞でもPPAR_γ2の発現が確認され、細胞が増殖して接触阻害がかかった状態で初めてPPAR_γ2の発現が抑えられ、分化誘導により再び発現が誘導されることが明らかとなった。本研究におけるサブトラクションは培養2日目の細胞増殖期と分化誘導4日目の脂肪分化初期のBIP細胞で行っていることから、PPAR_γ2が得られなかった理由と考えられた。転写因子C/EBPα,βについても同様の結果であった。これらの結果は、本研究におけるサブトラクションが十分に行われていることを裏付けるものであった。また、遺伝子の種類は多くなかったが、クローン数では分泌タンパク質が群を抜いて多く(154クローン)、BIP細胞においても分泌タンパク質が多く発現していることが明らかとなった。このことは、脂肪細胞はエネルギー備蓄および供給器官かつ、分泌器官であることを示す結果であった。代謝合成酵素の中には脂質代謝・脂肪合成さらに脂肪細胞の分化マーカーとされる遺伝子の発現も確認され、得られた遺伝子群は脂肪細胞の特徴を持ったものであることが明らかとなった。
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