鳥類の浸透圧調節機構に関する研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14360165
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 齋藤 昇 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (40211924)
• 研究分担者: 塚田 光 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (20343212) ; 島田 清司 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (40065579)
• キーワード: ニワトリ / 浸透圧刺激 / CRH / AVT / リアルタイムPCR / 遺伝子発現 / 絶水

研究概要

浸透圧調節に関する遺伝子発現の解析を進めるためには、脳内での微量な遺伝子発現の変化を測定し理解することが脳内の浸透圧調節機構の解明につながると考え、リアルタイムPCRによる測定系を確立た。リアルタイムPCRを用いることによりノーザンブロット法などに比べ格段に感度が高く、サンプルもmRNAかcDNAを逆転写しその一つのサンプルから多くの遺伝子発現を調べることが出来る。今回ニワトリの卵用種と肉用種の2つの系統のニワトリを用い絶水処理による脳内の遺伝子発現を調べた。その結果、絶水により体重が減少し血中の浸透圧が上昇した、ともに肉用種の方がより体重が減少し浸透圧がより増加し、絶水に対する反応は肉用種の方が大きかった。両系統とも抗利尿ホルモンであるアルギニンバソトシン(AVT)の遺伝子発現が増加した。しかしながら、ストレスに対して分泌されると考えられるコルチコトロピン放出ホルモン(CRH)の遺伝子発現は、体重や浸透圧で絶水により影響が肉用種の方が卵用種より大きかったにもかかわらず、卵用種では有意に増加したにもかかわらず肉用種では有意な変化が見られなかった。以上のような結果は、浸透圧調節機構を理解するたには2つの系統によって何らかの浸透圧調節に対する機構の違いを示したおり、さらに2つの系統を用いて他の浸透圧に関係する遺伝子発現を調べることで浸透圧調節機構の解明につながると考えられた。

研究成果

• [文献書誌] Yamamoto I., Tsukada A., Saito N., Shimada K.: "Profiling of mRNA expression of genes related to sex differentiation of the gonads in the chicken embryo."Poult.Sci.. 82. 1462-1467 (2003)
• [文献書誌] Ichikawa K., Yamamoto I., Tsukada A., Saito N., Shimada K.: "cDNA cloning and mRNA expression of estrogen receptor a in Japanese quail."J.Poult.Sci.. 40. 121-129 (2003)
• [文献書誌] Upi Chairun Nisa, Tsukada A., Mori M., Saito N., Shimada K.: "Expression of protgamine mRNA in relation to spermatogenic activity in Japanese Quail."J.Poult.Sci. 81. 309-318 (2003)
• [文献書誌] Ichikawa K., Ha Y, Tsukada A, Saito N, Shimada K.: "Effects of endocrine disrupters on mRNA expression of vitellogenin (VTG) II and very low density lipoprotein (apoVLDL)II in the liver of quail embryos"J.Poult.Sci.. 40. 45-52 (2003)
• [文献書誌] Cheng XW, Kuzuya M, Sasaki T, Arakawa K, Kanda S, Sumi D, Koike T, Maeda K, Tamaya-Mori N, Shi GP, Saito N, Iguchi A: "Increased Expression of Elastolytic Cysteine Proteases, Cathepsins S and K, in the Neointima of Balloon-Injured at Carotid Arteries"American Journal of Pathology. 164. 243-251 (2004)