研究概要 |
本年度は、ウシ黄体におけるアポトーシスの分子制御機構を検討する目的で、プロジェステロン、ならびに免疫細胞由来のTNFαおよびIFNγのアポトーシス制御への関与について検討した。さらに、局所調節因子としてリポキシゲナーゼ系化合物が黄体の機能に影響を及ぼすかどうかについても検討し、以下のような知見を得た。 1.ウシ黄体に由来する血管内皮細胞の細胞死にFas/Fas Lの機構を介して経路の存在することを明らかにするとともに、そのFas/Fas Lを介した血管内皮細胞の細胞死にTNFαならびにIFNYがFas mRNAを増加させることにより関与していることを示唆した。 2.プロジェステロンはFas mRNAに直接的な影響は及ぼさないが,ウシ黄体のFasを介したアポトーシスに対する防御因子として重要な役割を果たしている可能性を示唆した。 3.ウシ黄体退行時の細胞死にFas/Fas Lの機構を介して経路の存在することを明らかにするとともに、そのFas/Fas Lを介した黄体の細胞死にサイトカインがFas mRNAを増加させることにより関与していることを示唆した。 4.ウシ黄体における内因性リポキシゲナーゼ(LOX)系化合物である12-,15-HETEが局所でLH非存在下および存在下のプロジェステロン合成に関与している可能性を示唆した。
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