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2003 年度 実績報告書

腸管・脳血液バリアーにおける鉄結合性蛋白の選択的輸送機構と生体内での新規作用

研究課題

研究課題/領域番号 14360179
研究機関鳥取大学

研究代表者

原田 悦守  鳥取大学, 農学部, 教授 (90001536)

研究分担者 竹内 崇  鳥取大学, 農学部, 助手 (20216849)
佐藤 宏  鳥取大学, 農学部, 教授 (20301286)
北川 浩  神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40125307)
キーワードラクトフェリン / 初乳 / 体内移行動態 / 脳脊髄液 / ストレス / 疼痛緩和 / オピオイド / 一酸化窒素
研究概要

【リンパ系を介したLFの体内移行動態】ラクトフェリン(LF,100mg/kg)を成熟ラットの十二指腸内に投与し、経時的に胸管リンパ液並びに血液を採取して、LFの体内移行動態を解析した。その結果、リンパ液中のLF濃度は投与後2時間でピークとなり、その後も4時間まで1,000-3,000ng/mlの高濃度で推移した。また、胸管リンパ液を採取したラットでは、血漿中のLFは検出されなかった。また、小腸粘膜上皮細胞、リンパ節、肝臓などについて行った免疫組織学的解析からも、十二指腸内に投与したLFは主にリンパ系組織を介して血液中へ移行することが示唆された。
【LFによる疹痛緩和効果】成熟ラットを用いてホルマリンテスト、ホットプレートテスト、酢酸ライジングテストを行ったところ、LFは何れのモデルにおいても疹痛を有意に緩和した。この効果はNaloxone、及び一酸化窒素合成酵素(NOS)阻害薬であるL-NAMEの前処置で消失したことから、LFは軽度にNO産生を上昇させ、内因性オピオイド作用を増強することによって鎮痛効果を発揮すると考えられた。
【LFによる血圧低下作用】成熟ラットの頸動脈圧を測定しながら種々の用量のLFを静脈内に投与すると、血圧はLFの用量依存性に低下した。LFによる血圧低下は、Naloxone hydrochloride(全身で作用)によって阻害されたが、Naloxone Methiodideでは阻害されなかった。また、NOS阻害薬であるL-NAMEの前処置、あるいはラット胸部大動脈標本を用いたin vitroの実験において、血管内皮を剥離するとLFの効果が消失することから、LFは血管内皮細胞に作用してNO産生を増強し、その結果として血圧の低下をもたらすことが示唆された。また、LFはモルヒネのような心拍数の低下を伴うことなく、主に末梢に作用して血圧を低下させたことから、より安全性の高い血圧低下作用薬として期待される。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Talukder, M.J.R.: "Characteristic transport of colostral macromolecules into the cerebrospirial fluid via plasma in newborn calves"Journal of Dairy Science. 85. 514-524 (2002)

  • [文献書誌] Harada, E.: "Characteristic transfer of colostrum derived biologically active substances into cerebrospinal fluid via blood in natural suckling neonatal pigs"Journal of Veterinary Medicine A. 49. 358-364 (2002)

  • [文献書誌] Hayashida, K.: "Novel central function of milk-derived lactoferrin on anti-nociception mediated by the μ-opioid receptor"Brain Research. 965. 239-245 (2003)

  • [文献書誌] Talukder, M.J.R.: "Characteristics of lactoferrin receptor in bovine intestine : higher binding activity in Peyer's patches"Journal of Veterinary Medicine A. 50. 123-131 (2003)

  • [文献書誌] Kitagawa, H.: "Persorption of bovine lactoferrin from the intestinal lumen into the systemic circulation via the portal vein and the mesenteric lymphatics in growing pigs"Journal of Veterinary Medical Science. 65. 567-572 (2003)

  • [文献書誌] Hayashida, K.: "Lactoferrin enhances opioid-mediated analgesia via nitric oxide in the rat spinal cord"American Journal of Physiology. 285. R306-R312 (2003)

  • [文献書誌] Talukder, M.J.R.: "Receptor-mediated transport of lactoferrin into the cerebrospinal fluid via plasma in young calves"Journal of Veterinary Medical Science. 65. 957-964 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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