研究課題/領域番号 |
14360181
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
汾陽 光盛 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (00153007)
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研究分担者 |
松田 潤一郎 国立感染症研究所, 獣医科学部, 主任研究官 (60181731)
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キーワード | G蛋白質 / アネキシン5 / GnRH / LHβサブユニット / 下垂体 / ゴナドトロフ / 黄体 / プロラクチン |
研究概要 |
本計画では、下垂体前葉ゴナドトロフのG蛋白質経路における、アネキシン5を介する新規のシグナル伝達機序の解明を行う。同時に、卵巣のアネキシン5の機能解析を進める。GnRH受容体-G蛋白質-アネキシン5-ゴナドトロピン分泌(合成・放出)を結ぶシグナル伝達機序を解明するために、ラット下垂体前葉細胞初代培養系と株化細胞を用いる。本年度の成果は以下のようにまとめられる。 1)GnRH受容体からアネキシン5合成まで GnRH受容体から、G蛋白質を介してアネキシン5mRNA合成の増加することを確かめている。そこで、そのタイムコース、及びシグナルトランスダクション関連分子阻害薬の影響を検討した。すると、同じくGnRHによって合成促進されるLHβ遺伝子が、一過性に合成促進された後に合成の低下するのに対し、アネキシン5mRNAはGnRH投与期間中高い値を持続し、GnRH以降のシグナル経路が両蛋白質合成促進機序間で異なっていることが示唆された。更に、LHβ遺伝子合成に対するGnRHの作用は、MAPK系の阻害によって影響されなかったのに対し、アネキシン5mRNA合成は抑制され、細胞内キレート剤はLHβ遺伝子を強く抑制した。これらのことからGnRH受容体の活性化によって異なるシグナル系が駆動されることが明らかとなった。 2)卵巣におけるアネキシン5発現機序 生殖周期の変化に伴う、卵巣内でのアネキシン5蛋白質とそのmRNAの分布の変化を解析した。黄体化に伴うアネキシン5合成の開始、プロラクチンによる抑制を観察した。黄体相の途中でプロラクチン分泌を急激に抑制することで、黄体細胞にアネキシン5の発現すること、それらの細胞がアポトーシスを起こしていることを明らかにした。更に、プロラクチン分泌抑制後にGnRH受容体拮抗薬を局所投与することで、アネキシン5発現とアポトーシスの抑制されることを明らかにした。 以上の今年度の研究結果から、下垂体前葉においても黄体細胞においてもGnRH受容体下流でアネキシン5の機能することが示唆され、アネキシン5を介する新規のシグナル経路が普遍的に体内で機能していることが示唆されるに至った。
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