研究課題
基盤研究(B)
マダニ媒介性リケッチア病原体の日本国内での疫学および小動物に対する病原性を明らかにすることを目的として研究を行った結果、以下のような研究成果が得られた。1.マダニ媒介性リケッチア病原体の疫学調査:全国の約1400頭の犬と猫からマダニを採取してDNAを抽出し、各種マダニ媒介性リケッチアに特異的なPCRを実施した。陽性検体についてはさらに種特異的PCRまたは塩基配列解析を行い感染種を決定した。その結果、(1)新種と思われるエールリッヒア遺伝子が本州のマダニから検出され、チベットの牛のマダニから検出された病原体と近縁であることが明らかとなった。(2)これまで沖縄県にしか確認されなかったAnaplasma platysが、本州(福島県)と九州(宮崎県および鹿児島県)から検出された。(3)日本紅斑熱病原体が、患者発生のない県からも検出された。また新種と思われる紅斑熱群リケッチアが複数検出され、全国的に広く分布していることが明らかとなった。(4)犬と猫の不明熱や貧血の原因となるヘモプラズマがマダニから検出された。2.ヤマトマダニから分離された新規エールリッヒアの診断系確立および犬に対する病原性:感染マウス脾臓を抗原に用いた免疫蛍光抗体法により抗体検出系を確立した。また不明熱等の症状を呈する犬血液を材料に血清学的検査を実施したところ、本病原体に対する抗体を保有する犬もみられたが、臨床症状との関連は不明であった。さらに本病原体を実験的に犬に接種したところ、明らかな臨床症状は示さなかったが、一過性血小板減少、脾臓の腫脹等が認められた。また接種した犬には既知のEhrlichia canisと交叉反応を示す抗体が産生された。我が国の犬で報告されている抗E.canis抗体は、国内の新規エールリッヒア感染によるものである可能性が示された。
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