研究課題/領域番号 |
14360195
|
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
阿久津 克己 茨城大学, 農学部, 教授 (10151002)
|
研究分担者 |
中島 雅己 茨城大学, 農学部, 助教授 (70301075)
|
キーワード | Penicillium digitatum / ABCトランスポーター / 遺伝子破壊 / 薬剤耐性 / ファイトアレキシン / degenerate PCR / スーパーファミリー / 病害抵抗性 |
研究概要 |
カンキツ緑かび病菌Penicillium digitatumのABCトランスポーター遺伝子PMR1の破壊実験によりその機能の解析を試みた。先ず本遺伝子のATP-binding domain及びABC signatureをコードする領域を含む断片とハイグロマイシンB耐性遺伝子を置換し、遺伝子破壊ベクターpPdDF4で形質転換し、得られた50株の形質転換株についてサザン解析したところ、8株で遺伝子破壊が生じていることが明らかとなった。これらの遺伝子破壊株について、ファイトアレキシンを含む作用点の異なる20種類の薬剤に対する感受性検定を行ったところ、ポリオキシンとイプロベンホスに対する感受性が上昇していることが確認された。これらの結果から、PMR1は構造的に異なるポリオキシンとイプロベンホスを基質とし、それらを排出することで感受性に関与することが示唆された。 次にPMR1遺伝子のホモログである新たな2種の遺伝子PMR3とPMR4について、それらの発現パターンならびに機能の解析を行なった。その結果、PMR3の発現は低レベルで構成的であり、各種薬剤では誘導されなかったが、PMR3破壊株では病斑進展の遅延、プレート上での胞子形成率の低下、胞子の発芽条件の変化などが認められた。これまで、植物病原菌類において、このような特性を併せ持つABCトランスポーターの報告例はない。一方、PMR4は各種の薬剤ストレスに応じて誘導的に発現し、PMR4破壊株ではシクロヘキシミド、カンプトセシンおよびピリフェノックスについて薬剤耐性の低下が認められた。このことから、PMR4はPMR1と機能を分担する多剤排出ABCトランスポーターであることが明らかになった。
|