研究課題/領域番号 |
14360197
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
篠山 浩文 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (40211958)
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研究分担者 |
宍戸 雅宏 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (80302537)
石川 恵子 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (20212839)
坂本 一憲 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (10225807)
宮本 浩邦 株式会社日環科学, 代表取締役
塚越 覚 千葉大学, 園芸学部, 助手 (40270863)
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キーワード | 葉面糸状菌 / 好熱性細菌群 / 木質廃棄物 / 家畜排泄物 / 再資源化 / エピファイト / スギ / 菌相解析 |
研究概要 |
(研究1)サンブスギの生葉より分離した葉面糸状菌Pestalotiopsis sp.の培養特性 各種有用酵素生産糸状菌として知られているAspergillus nigerやスギ担子菌のStrobilurus ohshimaeと比較して、Pestalotiopsis sp.はその伸長速度が速かった。さらに生葉残さまたはスギ木粉と米ぬかを5:1(v/v)で調製した固体培地に植菌し、25℃、10日間培養したところ、両培地において、良好な生育、すなわち、培地全体に菌糸の蔓延が認められた。さらに、培養物に蒸留水を添加し、圧搾濾過することにより得られた培養ろ液中のキシラナーゼ活性を測定したところ、生葉残さにおいて11Units、スギ木粉において14Units生産していた。 (研究2)葉面糸状菌Pestalotiopsis sp.が清算するキシラナーゼの精製とその酵素学的諸性質 Pestalotiopsis sp.のキシラナーゼを精製した。陽イオンおよび陰イオン交換カラムクロマトグラフィー、さらにゲルろ過クロマトグラフィーにより、電気泳動的に単一なキシラナーゼの精製標品を得た。本酵素の分子量25,000、等電点は9.5、比活性は231μmol/min/mg、至適温度は50℃、至適pHは6.0,pH安定性は1〜12であった。また、キシロビオースやキシロトリオースには作用しなかった。Pestalotiopsis属糸状菌が生産するキシラナーゼの、キシランを供与体としたカテコールに対する培養液の配糖化能を、土壌より分離した糸状菌群と比較した。土壌由来菌株においてはカテコールを配糖化するものが30%弱なのに対し、今回得られた生葉由来菌株のおよそ90%がカテコールを配糖化した。また、カテコール以外にもレゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、プロトカテク酸、メタノールなどを配糖化するものも存在した。Pestalotiopsis属糸状菌のキシラナーゼもこれまで我々が検討してきた酵素法による配糖体の合成に利用できることが示唆された。 (研究3)葉面糸状菌Pestalotiopsis属糸状菌による牛排泄物(牛スラリー)臭軽減メカニズムの解析 1.酵素的作用による可能性:消臭作用がPestalotiopsis属糸状菌の生育に伴う、もしくは酵素的な作用によるものかどうかについて検討した。すなわち、本菌をスギ木粉固体培地で生育させたものを121℃、20分間加熱処理したものに牛スラリーを添加し、処理しなかったものと、消臭能を比較した。加熱処理をしたものにおいても消臭効果は変化せず、本菌による牛スラリーの消臭作用は酵素的な作用によるものでなく、細胞壁への吸着のような物理的な作用によるものであることが推定された。2.物理的作用による可能性:菌体あるいは培養液による牛スラリーの消臭作用について検討した。すなわち、PDB液体培地において本菌を培養して得られた培養物について、菌体と培養液を分離し、それぞれの消臭能を検討した。培養液のみに牛スラリーを添加した場合では消臭効果は認められなかったのに対し、牛スラリーと菌体を混合してその消臭効果を確認したところ、牛スラリーのみのアンモニア系成分量を100%とした場合、14.6%まで減少した。また、オートクレーブ処理した菌体についてもアンモニア系成分が減少していた。さらに、乾燥菌体においても消臭効果が認められたことから、菌体により牛スラリー臭が軽減することが明らかとなった。
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