研究課題/領域番号 |
14360199
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小柳津 広志 東京大学, 生物生産工学研究センター, 教授 (70177301)
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研究分担者 |
山川 隆 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (20134520)
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キーワード | 蛍光性Pseudomonas / 病室防除 / 成長促進 / リン酸吸収促進 / 根圏窒素固定微生物 / 2次代謝産物 |
研究概要 |
この研究では植物のカビによる病害を効果的に抑制する蛍光性Pseudomonas HP72株、植物の成長を促進する担子菌類菌株S23、および共生状態でない単独状態で窒素固定を行う根粒菌Azorhizobium caulinodansやAzospirillum属菌株を対象として、これらの植物に影響を与える微生物を植物が自在に環境中での動態をコントロールするように植物を改良することを目指している。初年度の研究では、Pseudomonas HP72について、病害抑制に関わる原因遺伝子を解明した。さまざまな2次代謝産物について、その欠損変異株を作製して検討したところ、Phlが病害抑制に直接関係していることが明らかとなった。また、病害抑制にはこの菌株の植物根への定着性が影響することから、定着性へ与える遺伝的背景を解明するため、この菌株の植物ホルモンIAA合成が低下した変異株で定着性を検討した。この結果、IAAの低生産株は定着性にはわずかな影響を与えるだけであり、他の要因が定着性に関与していると推定された。今年度は、この菌株のPhl生産がどのような制御で行われているか解明した。この結果、Phl生産制御に関与する新規遺伝子rpsABCDEおよびrspR見出した。RspRは転写制御因子と考えられ、Phl合成遺伝引オペロンに含まれる転写調節遺伝子phl Fとともに作用し、転写開始域を変化させることによって、発現を調節している可能性が考えられた。また、rpsABCDEはトランスポーター様タンパク質をコードすることから植物等の外界からのシグナルを受けphlの合成を調節するセンサー的役割を担うものと推定した。次に、シロイヌナズナのランダム変異個体にAzorhizobium caulinodansの感染を受容するものがないかスクリーニングしたところ、窒素飢餓状態において根粒菌の細胞表層への侵入を許す株を見出した。植物の成長を促進する担子菌類S23については、この菌株が植物根に感染した場合にどのような作用を植物に与えるか、リン酸吸収の側面から検討を行っている。
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