研究課題
本年度は、受容体DAF-2発現プラスミドの構築ならびにCeinsulin-1遺伝子破壊線虫の作出に注力した。【DAF-2発現プラスミドの構築】現在、全長のオープンリーディングフレームを含むcDNAが存在しないことから、まず、daf-2cDNAのクローニングに着手した。制限酵素切断部位を考慮し、daf-2cDNAを1kbp未満の部分cDNAとして増幅(RT-PCR)し、サブクローニングの後、塩基配列分析を行つた。正しい塩基配列を持つ部分cDNAを連結し,全長のdaf-2cDNAを得た。さらに、哺乳動物の培養細胞系で効率良く発現させることを指向して、シグナルペプチド部分を哺乳動物のインスリン受容体のものに改変した。また、発現を容易に確認するために、C末端にGFPを連結した発現プラスミドを作製した。現在、COS-7細胞ならびにCHO細胞における発現を検討している。【Ceinsulin-1遺伝子破壊線虫の作出】TMP/UV法ならびにsib-screeningにより、Ceinsulin-1遺伝子に欠失を持つ変異株(tm339)を得た。塩基配列分析により、第2エキソンならびに第3エキソンを含む約1.4kbの欠失を確認した。この変異株を5回の戻し交雑により純化した。この変異株について寿命測定を行ったところ、50%生存日数が約1.4倍であり有意な延命効果が認められた。これは、RNA干渉法による機能破壊の場合と同様であった。また、耐性幼虫形成(休眠)に関して影響を検討したところ、耐性幼虫形成r率40%の休眠フェロモン濃度において90%の耐性幼虫形成r率を示した。すなわち休眠フェロモンに対する感受性が著しく増大した。これは、受容体DAF-2変異株の表現型とよく一致する。以上のことから、Ceinslin-1は受容体DAF-2のリガンド分子であり、寿命および休眠を制御することが強く示唆された。現在、Ceinsulin-1により発現が制御される遺伝子群の同定を行っている。
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