研究分担者 |
北村 清一郎 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30093404)
井出 吉信 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20103377)
諏訪 文彦 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (30067178)
秋田 恵一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80231819)
後藤 昇 昭和大学, 医学部, 客員教授 (70059559)
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研究概要 |
頭頚部の皮膚の下に存在する多数の表情筋とその神経分布、口腔内器官、特に舌や口蓋部、喉頭の形態解析、悪性腫瘍や炎症波に重要な頭頚部の筋膜・筋膜隙の解析、顎顔面頭蓋骨や顎関節の構造変化の解析、咀嚼と嚥下の機能回復やその筋・神経機構、神経の加齢変化の影響の解明等は頭頚部機能回復に重要な資料となりうる。また頭頚部血管構築の解明、リンパ節分布及びリンパ管系路解明は悪性腫瘍の治療・予後や創傷治癒の観点を考える上で重要である。脳血管の形態異常、内耳、眼部の形態解析は口腔領域、眼科、耳鼻咽喉科学などの感覚機能回復術には有用な基礎データーとなりうる。これら頭頚部の一連の日本人資料による形態解析を研究していくことは飛躍的に発展しつつある頭頚部医療発展に大きく寄与するものと考えられる。以上のことから今回の助成金で、各分担者による頭頸部領域における形態学的な研究成果は多くなされたが、それらの結果の中でも主としたものを列記すると 1,日本人の表情筋の形態、筋繊維の解析 2,頭頚部における筋膜や筋膜隙の解析とその意義 3,顎骨と歯牙の形態との関係とその力学的な解析及びこれらの結果についてビジュアル化 4,頭頸部領域における血管系(動・静脈及びリンパ系)の形態及びそれらの変異 5,咀嚼筋群への神経分布の詳細な解析 6,ヒトの脳血管が他の臓器に比較して異なる点を明確にし、また脳血管の変異についての解析 7,眼科、耳鼻科領域への臨床的な形態、機能解析 等があげられる。 今回のこの結果は、2000年に出版された「日本人のからだ-解剖学的変異の考察」(東京大學出版会)に、さらなる内容の追加となり、近代の頭頸部領域の臨床医学に応用されるための形態解析資料として貢献できるものと考える。また、今後これらの結果は一冊の書としてまとめる予定である。
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