研究課題/領域番号 |
14370008
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
澤田 元 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (90101112)
|
研究分担者 |
菅野 洋 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (40244496)
出澤 真理 京都大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (50272323)
|
キーワード | 骨髄 / 間質 / 幹細胞 / 分化 / 破骨細胞 / 多核 / ホルボールエステル / 巨細胞 |
研究概要 |
骨髄間質の5F9A細胞クローンは、分化誘導条件を変えると、脂肪細胞、軟骨細胞、骨細胞などに分化できる。この細胞をホルボールエステル(TPA)で処理すると2-3日で多核の巨細胞を生じる。巨細胞の割合はレチノイン酸により増す。この多核細胞の性質を検討したところ、酒石酸耐性酸性フォスファターゼが陽性(昨年の報告と異なる結論が出た)でビトロネクチンレセプター(αVβ3インテグリン)を発現するなど、破骨細胞の性質に近いことがわかった。これは骨髄の間質系の細胞から造血系に類似の細胞ができたという点でユニークな結果である。しかし一方でCD11bを発現していないなど、破骨細胞と異なる点も見られる。 この多核細胞の形成のメカニズムを調べる目的で、(1)Golgi装置にDS-redをtargetするベクターを導入した5F9A細胞と、(2)アクチンにGFPをtargetするベクターを導入した5F9A細胞を混ぜて培養し、TPA処理すると、DS-redとGFPの両方を持った多核細胞がしばしば出現した。これは多核細胞が少なくとも一部は細胞融合により形成されたことを示している。一方で、endomitosis(細胞質分裂を伴わない核分裂)によっても形成された可能性も残っている。 骨髄間質細胞が分化の多能性を示すメカニズムの1つとして、この細胞が様々な組織で、その部位の分化した細胞と細胞融合する可能性が注目されているが、人為的に骨髄間質細胞に細胞融合を起こせることを示したことは、これ議論に一石を投じる結果が得られたものと考えている。現在心筋細胞や肝細胞との間で融合を引き起こせるかどうか検討中である。
|