研究概要 |
心臓において,ATP感受性Kチャネル(K_<ATP>)は心筋虚血時に活性化され,活動電位持続時間を短縮させることにより心筋細胞を保護する機能を持つ。K_<ATP>は細胞内ATPによって抑制され,逆に細胞内ADPや細胞膜脂質PlP_2によって活性化される。K_<ATP>はイオンチャネル孔を形成するKir6.2と,二つのATP binding motif(NBD1&2)をもつATP結合蛋白(ABC蛋白質)の一種,スルフォニル尿素受容体SUR2Aからなる8量体である。 K_<ATP>はABC蛋白質の阻害剤verapamilによって阻害されるが,その機構は不明であった。我々はK_<ATP>を構成するKir6.2/SUR2Aのうち,verapamilはABC蛋白質であるSUR2Aではなく,Kir6.2に結合し,チャネルを抑制することを報告した。またKir6.2の様々な部位に変異を導入することにより,verapamilの抑制効果を検討した結果,チャネルの閉状態に親和性が高いことが示唆された。 さらに昨年度はKir6.2のC端にGFPを結合した変異体,およびSURをNBD1の前後で二分割しかつGFPを結合した変異体を作成し,それらが正常な機能をもつことを発見した。さらに蛍光ラベルしたATPやglibenclamideがチャネルに対して正常な機能をもつことを発見した。来年度はKir6.2-GFP,分割SUR-GFPと蛍光ラベルされたATP等との間で生じるfluorescent energy transferを用い,分子の結合解離を可視化することを試みる予定である。
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